「裸足が自然なフォームを教えてくれた!」アイリッシュパブマスター・松島壮志さんが裸足で走る理由


筑波大学にほど近い飲食店街の一角にアイリッシュパブ「Finlaggan」(フィンラガン)を営む松島壮志さん。

学生時代からの修行を含めて26年間、バーテンダーの道一筋を究めてきた松島さんですが、4年半ほど前からランニングを始め、最近は街中や山野を“裸足”で走っているのだそう。

ランニングとの運命の出会いはどのように訪れたのか、なぜ裸足で走るのか。そのヒストリーを教えてもらいました。


人生を変えてしまった、ランニングとの運命の出会い

 出典  Funmee!!編集部


―― ランニングを始められてから、随分と長いんですか?

 

4年半くらいですね。お店のお客さんがケガをしてしまって、急きょ代わりにマラソン大会に出ることになったのがきっかけです。それまでは特に運動をしていなかったんですが、大会の3週間前から走り込んで、無事に42.195kmを完走しました。それがもう、気持ちよくて。最終的には裸足ランニングに行き着くわけですけど、もう人生が変わってしまいましたよね(笑)



マサイ・ベアフット・テクノロジー(左)とミニマス(右)は、ともに裸足に近い感覚で履ける

 出典  Funmee!!編集部


―― 本当ですね(笑)。でも、そこからなぜ裸足ランニングに?

 

ランニングを始める2年ほど前から、健康のためにMBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)と呼ばれる靴を日常使いしていたんです。裸足の状態に極めて近い重心の使い方を保たなければ立てないように設計されている靴にすっかり慣れていたので、かかと部分にクッションがある一般的なランニングシューズが合わなかったんですよ。結局、最初のマラソン大会もMBTで走ったんですが、これがすごく楽しかった。その後、“人が本来持っている本当の力を引き出す”というコンセプトで作られた、ニューバランスの「ミニマス」を履くようになってますます裸足に近い、人間本来のナチュラルな走り方を探求しつつ、「もっと速くなりたい」と思うようになっていきました。

裸足になるまで、ともに“歩んだ”靴たち

 出典  Funmee!!編集部


―― ナチュラルな走り方を探求し始めてから裸足ランニングに至るまでの経緯を、もう少し詳しく教えていただけますか?

 

はい。「ミニマス」の次はビブラム「ファイブフィンガーズ」と呼ばれるシューズを履いていました。これはMBTと違って5本指がきちんと開きますし、足裏の素材もペラペラで、裸足により近い状態ですね。その後、履くようになったのが、「ワラーチ」というサンダルです。メキシコの奥地に、タウラマラ族という長距離走が得意な民族がいるんですが、彼らは走ること自体が生活の一部になっているので、アメリカの強いランナーでも、タウラマラ族には勝てないらしいんですよ。



ビブラム「ファイブフィンガーズ」(左)とベッドロックサンダル「ワラーチ」(右)

 出典  Funmee!!編集部


―― プロ選手が勝てない!?

 

すごいですよね(笑)。そんなタウラマラ族が“ワラーチ”を履いているんです。一般的に性能が高いと言われている靴を履いた選手よりも速く走れるのはなぜか、と考えたときに、やはり裸足に近い状態だからなのではないかと考えてワラーチを履くようになったわけですが、最終的には何も履かない“裸足”という選択に至りました。最近のトレーニングは、主に山などの不整地を裸足で走っています。

 


―― もはや野生動物のようですね(笑)。ちなみに、この“ワラーチ”は日本のどこで購入できるんですか?

 

今でこそインターネットで買えるところもありますが、当時はどこにも売っていなかったんですよ。そこで一度、「ワラーチを作っている人に会ってみたい!」と思って、単身渡米して見学に行ったんです。無事メーカーの方と会えて、話しているうちに仲良くなって売ってくれるというので、まとめて個人輸入しました。合計200足です。


 

―― 200足も!

 

はい(笑)。今はもうすべて売り切ってしまったので、オリジナルのワラーチを作ってプロダクトにできないかと構想を練っているところです。うまく商品化して、“ワラーチ”から入って裸足ランニングも始めたという方を増やしたいですね。



醍醐味は“足裏先生”からのフィードバック、自分自身との対話

 提供  松島壮志


―― 実際に、裸足で大会に出られたこともあるんですよね?

 

はい。初めて裸足で出たのは、ランニングを始めてから2年半後の「かすみがうらマラソン」のときです。3時間以内でゴールする「サブスリー」を目標としていたんですが、あと少し足りない3時間10分でしたね。悔しかったなぁ。

 


―― ランニングを始めて2年半後に、裸足で3時間10分をたたき出したことが驚きです(笑)。実際に裸足でマラソン大会に出られてみて、何か心境の変化などはあったんでしょうか?

 

走るうえで大事にすることの優先順位が変わりましたね。それまでは「とにかく速く走りたい」と思ってストイックな練習を重ねてきたんですが、自分と向き合うことを一番大切にするようになりました。地面と一体になる感覚が本当に心地よいですし、裸足だと足裏からのフィードバックが最もダイレクトなので、理想の走りを追及できる。



 出典  Funmee!!編集部


―― 足裏からのフィードバック、ですか?

 

はい。痛いところが出てきたら、フォームなり走り方なり、ダメなところを“教えてもらっている”と考える。それを自分で受け入れて、次にどうしたら良いのかを考えるんですが、僕はその過程を“足裏先生”と呼んでいます。「今日も足裏先生にダメ出しされちゃったなぁ」と言いながら、理想の走りに近づけようと試行錯誤するのが楽しいんです(笑)。ランニングシューズを履いていては、味わえない感覚だと思いますね。



【後編】野山を裸足で駆け巡る“野生”バーテンダー・松島壮志さんに聞く、裸足ランニングライフ


■プロフィール

松島 壮志(アイリッシュパブマスター)

筑波大学在学中よりバーテンダーの世界に魅入り、修行を積む。2002年には、本物のクラフトビール・パブ文化を根付かせたいと、茨城県つくば市にてアイリッシュパブ「Finlaggan」をオープン。2012年秋、知人の誘いがきっかけでランニングを始め、“よりナチュラルな走り”を求めて試行錯誤を重ね、現在の裸足ランニングスタイルにたどり着いた。最近では、山などの不整地を裸足で駆け巡るなど、ワイルドなトレーニングにも勤しんでいる。

 

「Finlaggan」

住所:茨城県つくば市天久保2-9-2 リッチモンド2番街ビル2階 B-203

電話:029-852-0244

営業時間:18:30~27:00(日・月休み)



※注意

裸足でランニングする際には、安全に十分に考慮し、自己責任のもと行ってください。



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:佐々木ののか (Nonoka Sasaki)

写真:飯村ゆみ (Yumi Iimura)

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Funmee!!編集部

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