【趣味人ジドウシャ部】#19 メルセデスベンツ<W124型>(スペック編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介する連載「趣味人ジドウシャ部」。今回は1985〜1995年に生産されていたW124型のメルセデスベンツです。

 

メルセデスベンツのラインナップのうち、ミディアムサイズの「Eクラス」の名を初めて冠したのがこのW124型。前編では、基本的なクルマの特性やフィーリングなどについて紹介します。



撮影車両は1994年式の「E320T」。ワゴンタイプのボディサイズは全長4,765mm×全幅1,740mm×全高1,490mm

撮影車両は1994年式の「E320T」。ワゴンタイプのボディサイズは全長4,765mm×全幅1,740mm×全高1,490mm

 出典  Funmee!!編集部


現在のメルセデスベンツの乗用車は、車格の大きい順にSクラス、Eクラス、Cクラス……という具合にクラス分けされています。こうしたクラス名称がつけられたのは1990年代になってからで、1960年代半ばごろまでは明確なクラス分けはされていませんでした。

 

しかし1968年に「趣味人ジドウシャ部 #17」で紹介したW114/115型のモデルが登場すると、これは「コンパクト」と呼ばれ、フルサイズのフラッグシップモデルとハッキリ系統が別れました。コンパクトといっても、フラッグシップのクラスに比べてひと回り小さいだけで、現代で言うコンパクトカーの意味ではありません。そしてフルサイズの系統は1972年登場のW116型から「Sクラス」の名称が与えられました。



おなじみのフロントグリル左右には角目のヘッドライト。アラフィフ世代にとってはベンツマスクというとこのデザインかも

おなじみのフロントグリル左右には角目のヘッドライト。アラフィフ世代にとってはベンツマスクというとこのデザインかも

 出典  Funmee!!編集部


一方のコンパクト系は、W114/115型からW123型を経て、今回紹介するW124型へとモデルチェンジしていきました。1982年には後のCクラスに連なる、さらにひと回り小さなW201型の通称190シリーズがデビューして新たに「コンパクトクラス」と称されていたので、1985年に登場したW124型は「ミディアムクラス」と呼ばれました。そしてモデル後期の1993年から「Eクラス」となったのです。



ワゴンは後席を倒すとフラットで広大なラゲッジスペースを確保できます。ラゲッジルームのフロアには2名分のサードシートが格納されています

ワゴンは後席を倒すとフラットで広大なラゲッジスペースを確保できます。ラゲッジルームのフロアには2名分のサードシートが格納されています

 出典  Funmee!!編集部


ちなみにメルセデスベンツの「W○○○」という名前は、車体の型式番号にちなんだもの。メルセデスベンツの車名は、1990年代以降はE300、S320というようにクラス名のアルファベット+エンジンサイズの数字、それ以前は320E、300SELといった具合に数字+アルファベット。しかしこれだと世代違いで同じ車名のモデルが存在してしまうため、型式で呼ぶのが通例。また1980年代以降、型式の頭文字はセダンがW、ワゴンがTまたはS、2ドアクーペがC、カブリオレがAとなったため、W124型の場合厳密にはW124、S124、C124、A124となりますが、まとめてW124型と呼ばれるのが一般的です。



空気抵抗を少なくするために、無駄な凹凸を省いた平滑なボディライン。Cd値(空気抵抗係数)は0.29と、それまでのメルセデスベンツと比較して驚異的な数値を実現

空気抵抗を少なくするために、無駄な凹凸を省いた平滑なボディライン。Cd値(空気抵抗係数)は0.29と、それまでのメルセデスベンツと比較して驚異的な数値を実現

 出典  Funmee!!編集部


さてW124型は、メカニズム的には先行して販売されていたW201型をサイズアップした形で設計されました。W201同様に、リアサスペンションはそれまでのセミトレーリングアーム式からマルチリンク式へとアップグレードされています。


デザイナーはW201やSクラスのW126型と同じブルーノ・サッコ。先代のW123型からそれまでのいわゆる縦目のベンツマスクから角型横目のマスクになっていましたが、まだクラシカルな趣を残していたW123型に対し、W124型は空力特性を考慮した滑らかなフォルムとなり、より現代的なスタイリングとなっています。



電動式サンルーフがオプションで用意されていました

電動式サンルーフがオプションで用意されていました

 出典  Funmee!!編集部

 

アクセルを踏み込むと、矢のような直進安定性を見せてくれます

アクセルを踏み込むと、矢のような直進安定性を見せてくれます

 出典  Funmee!!編集部


W124型のATは、一部のモデルを除き2速発進。ブレーキペダルから足を離し、アクセルペダルを軽く踏んでもなかなか動き出しません。ブレーキペダルを離しただけでスルスルと動き出す一般的なAT車の感覚に慣れていると、初めのうちは違和感を覚えるでしょう。とくに街なかでは、よく言えばゆったり、悪く言えばもっさりした印象を持つかもしれません。

 

しかし、アクセル操作のコツをつかめば、それはあまり気にならなくなります。エンジンは2.2Lと2.3Lの直列4気筒、2.6L、2.8L、3.0L、3.2Lの直列6気筒、そして4.2Lと5.0LのV型8気筒とさまざまなバリエーションがありますが、いずれも高精度でパワフル。アクセルペダルをしっかり踏み込めば力強く加速し、高速域まで気持ちよく吹け上がります。



320のエンジンは、3,199ccの直列6気筒DOHCエンジン。最高出力225馬力を発揮

320のエンジンは、3,199ccの直列6気筒DOHCエンジン。最高出力225馬力を発揮

 出典  Funmee!!編集部

そしてW124型の魅力は、何と言ってもボディの剛性感。エンジンパワーを受け止めるシャーシがしっかりと作られているので、ドライバーにクルマに守られているという安心感を与えてくれます。

 

この剛性感は縦目時代のメルセデスベンツから持っていた長所ですが、W124型ではそれがよりブラッシュアップされています。現代の交通環境下でもストレスなく走ることができ、とくに長距離の高速クルージング時にはその真価を発揮します。「スピードを上げてもよれずにドーンと進む感じで、長距離走り続けてもまったく疲れずに快適です」と語る、W124型専門ショップ「アローズ」の関根友治さん。



沈み込みすぎないほどよい硬さのシートは、長距離での疲労を軽減してくれます

沈み込みすぎないほどよい硬さのシートは、長距離での疲労を軽減してくれます

 出典  Funmee!!編集部


この快適性は、シートにも秘密があります。この当時のメルセデスベンツのシートは、2種類のスプリング、ウレタンダンパー、シュロ(椰子)の繊維などを用いたクッションを組み合わせた複雑な構造をしています。ほどよく硬く、それでいてホールド性のあるシートは、電動式の調節機能が備わっているため、最適な運転姿勢を維持でき、疲れにくいのです。



シート表皮の素材は、このファブリックの他、レザー、MB-TEXと呼ばれる合皮、ベロアなどが用意されていました

シート表皮の素材は、このファブリックの他、レザー、MB-TEXと呼ばれる合皮、ベロアなどが用意されていました

 出典  Funmee!!編集部


「また、どんどん電子制御化が進んでいくなかで、このW124型にはまだトランスミッションを始め機械式の部分が残されています。この機械式ATのフィーリングを好む方も多いですね」。外見を含め、クラシカルな味わいという点では当然より旧いメルセデスのほうが高くなりますが、旧き時代のよさを残しつつも、現代でも通じる高い実用性もほしいという人にはぴったりなメルセデスベンツと言えるでしょう。



安心して乗ることのできる整備済みW124型のストックを豊富に持つ、川崎にあるW124型専門ショップ「アローズ」

安心して乗ることのできる整備済みW124型のストックを豊富に持つ、川崎にあるW124型専門ショップ「アローズ」

 出典  Funmee!!編集部
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■取材・撮影協力

アローズ

 

W124型メルセデスベンツ専門ショップとして15年の歴史を持つ。2010年に横浜市都筑区から現在地に移転。豊富な部品在庫を確保し、充実のメンテナンス体制で購入後もW124型本来の乗り味を楽しめる。3年前から前期型W124型のスタイリングを再現した「アローズクラシックライン」も展開。

 

住所:神奈川県川崎市宮前区菅生3-27-14

TEL:044-976-6155

営業時間:9:00〜19:00(火〜金曜)、10:00〜20:00(土日祝)

休み:月曜

 

 

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文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



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Funmee!!編集部

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