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今年の夏、大流行のコールドブリューを知らないとマズイ!
【趣味はコーヒー】︎

今年の夏、大流行のコールドブリューを知らないとマズイ!


コールドブリュー(COLD-BREW)。サードウェーブコーヒーブームを機に耳にするようになったフレーズですが、きちんと説明できる方はどれほどいるでしょうか? コールドブリューとは「水出しコーヒー」のこと。こう言ってしまえばそれまでですが、数時間かけてじっくり抽出するこの方法は、器具さえ揃えば簡単にチャレンジすることができて、風味もマイルドに仕上がるので、実はコーヒー入門者にオススメな淹れ方なのです。


とはいえ、やはりそこには理屈とコツがあります。


コールドブリューの特色から美味しい淹れ方まで、プロの知見を借り、徹底的に解説します。


いま、コールドブリューをマスターすべき理由とは?


コールドブリューをマスターするべく門を叩いたのは、東京の下町・森下で自家焙煎コーヒーで名を馳せる『The NorthWave Coffee(ザ ノースウェーブ コーヒー)』。マスターのサトウヨシユキさんは、コーヒーの成分を熟知し、豆選びから焙煎、挽き、抽出までをコントロールしています。


まずは理論派であるサトウさんに、昨今のコールドブリューブーム、そしてコールドブリューの真価について聞いてみました。


ドリップするサトウさんはさながらコーヒーと対話をしているかのよう
 出典  Funmee!!編集部
ドリップするサトウさんはさながらコーヒーと対話をしているかのよう


「水出しコーヒー自体は、決して新しいものではありません。古くからダッチコーヒーといって、ロートのように高い位置から水が下りながら、コーヒーを抽出する手法があります。水、または氷水を使うこの手法は、時間はかかりますが、コーヒーに熱を加えないため豆本来の味を抽出することができます」(サトウさん)


店で目にするとその大きさに圧倒される水出しポット
 出典  Funmee!!編集部
店で目にするとその大きさに圧倒される水出しポット


「こと『コールドブリュー』というフレーズの広まりは、『ブルーボトルコーヒー』さんの偉業と言えますね。2015年に上陸するや否や、すっきりとした味わいのアイスコーヒーが『コールドブリュー』というキャッチーなフレーズとともにSNSを席巻したわけです。また、水出しコーヒーは、バリスタの手腕を問わないため、安定した味を引き出すことができます。ブームの最中に訪れる膨大なお客様に一定の味を提供することを実現できたのは、コールドブリューのおかげだったとも言えますね」(サトウさん)


日本におけるサードウェーブの火付け役であるブルーボトルコーヒーには、いまも行列が絶えない
 出典  Funmee!!編集部
日本におけるサードウェーブの火付け役であるブルーボトルコーヒーには、いまも行列が絶えない


「コールドブリューというワードが一気に広まりましたが、この抽出方法は大変優れた方式で一過性のブームと片付けるのはもったいないことです。水出しの特長は、繰り返しになりますが、コーヒー粉に熱が加わず豆本来の味が楽しめる点にあります。一方で弱点もあります。コールドブリューはアイスコーヒーに最適ですが、温度が低いということは香りが立ちたません。コーヒーにおいて温度は甘みや香りを感じるために重要な役割を果たすため、アイスコーヒーでは甘みや香りが感じづらくなるのです。この点を考慮すれば、コールドブリューでは豆、そして焙煎、挽きを意識してコーヒー粉を選ぶ必要があるのです」(サトウさん)


コールドブリューに最適なコーヒー粉とは?


「コーヒーの好みはもちろん、人それぞれです。しかし、コールドブリューではほかの淹れ方とは異なる味わいの抽出となることを踏まえてコーヒー粉を手にしてみてください。コーヒーの生豆は、焙煎をすることで加水分解が進み、成分の分解と生成が繰り替えされます。このコーヒーの成分が味わいや香りの源です。コーヒーの成分は1000種とも言われ、現在解明されているだけでも600種ほどあります。また、成分には水溶性と親油性があります」(サトウさん)


コーヒーの成分を熟しているがゆえのロジックは説得力があります
 出典  Funmee!!編集部
コーヒーの成分を熟しているがゆえのロジックは説得力があります


「水溶性は深く焙煎すると失われ、逆に親油性の成分は浅煎りでは生成されません。つまり、大雑把に言えば、浅煎りは酸味が感じられるが甘みや苦味を感じづらく、深入りは甘みや苦味が感じられますが酸が弱いということです。コールドブリューにおいてポイントとなるのは、低温での抽出は親油性成分は抽出できない、ということです。ブルーボトルの例でも触れましたがコールドブリューはすっきりとしたアイスコーヒーを淹れることができます。これは、低温で長時間かけることで水溶性成分だけを引き出すことができるから。逆に親油性成分はほとんど抽出できないので、甘みや苦味が穏やかなのです。この理屈から導き出せるのは、コールドブリューに最適な豆は酸が楽しめる品種で、焙煎は浅煎りが基本ということなのです」(サトウさん)


焙煎度合と味わいの相関関係

浅煎りは酸味が強く苦味が弱い。逆に深煎りは苦味が強く酸味が弱まります
 出典  Funmee!!編集部
浅煎りは酸味が強く苦味が弱い。逆に深煎りは苦味が強く酸味が弱まります

極上のコールドブリューはこうして淹れる!


コールドブリューの概念、適したコーヒーの選び方を知ったところで、コールドブリューの実践と参りましょう。ここでもサトウさんならではのロジックとコツが登場します。第一線で活躍するバリスタの技を習得し、美味しいアイスコーヒーを堪能してみてください。


用意すべきはこれらのアイテム

 出典  Funmee!!編集部


「自宅でコールドブリューを楽しむならば、専門店で目にする大掛かりな『透過式』(ダッチコーヒーの解説で紹介した写真のもの)ではなく、コーヒー粉が水に浸かり続ける『浸漬式』が良いでしょう。基本は粉をストレーナーに入れ水を注いで待つだけです。とても簡単ですが、美味しく淹れるコツがありますので、解説していきます。まずは用意するアイテムからです」(サトウさん)


水出しコーヒーポット


コールドブリューに欠かせないポット。さまざまなサイズのものがありますので、ライフスタイルに合わせて選びましょう。今回はHARIOの8杯用ポット「水出し珈琲ポット MCPN-14CBR」を使います。


このモデルはストレーナーがの底が外れるため、手入れが容易
 出典  Funmee!!編集部
このモデルはストレーナーがの底が外れるため、手入れが容易

コーヒー粉


すっきりとしたアイスコーヒーを目指し、サトウさんに推薦してもらったのはエチオピア。豆が持つ酸味を損なわないために、焙煎は浅煎りです。


黒過ぎない色は、浅煎りである証拠
 出典  Funmee!!編集部
黒過ぎない色は、浅煎りである証拠


そして、挽き方は粗挽き。酸味のある豆と相性の良い挽き方で、長時間抽出するコールドブリューではたびたび用いられる挽き方です。


粗挽きはザラメのような粒感です
 出典  Funmee!!編集部
粗挽きはザラメのような粒感です

ミネラルウォーター


加熱しないだけに、水そのもの味が仕上がりに直結するのもコールドブリューの特徴です。カルキ臭がする水道水は避けましょう。また、ミネラル分がコーヒーの成分とバッティングするため、硬水ではなく軟水がおすすめです。


キッチンスケール


粉の分量が味わいに影響を与えるのはどのような淹れ方でも同じ。特に浸漬式のコールドブリューでは水の量はコーヒー粉が浸かる量である必要があり、結果、水量は規定されるので、適したコーヒー粉の計量が必須となります。また、規定分量での味わいを知れば、後々、好みに合わせて調整することができるようになるのです。


マドラー


抽出工程で粉と水を混ぜますので、マドラーや混ぜやすい棒、スプーンなどを用意しておきましょう。


極旨コールドブリューはこうして淹れる

1_コーヒー粉を計量

 出典  Funmee!!編集部


ポットメーカーが推奨する規定量のコーヒー粉を計量します(今回のケースでは80g)。


2_水を注ぐ

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水を注いでいきます。一度に全てを注ぐのではなく、複数回に分けて注ぎます。粉が湿り、水が粉を覆ったら注ぐことを止め、ストレーナーから水が出切ったら再び水を注ぐことを繰り返します。


3_粉を混ぜる

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ポットメーカーが規定する量や目盛り(今回のケースではハンドルからつながる茶のリングの真ん中)まで水を注いだら、水に接していない粉がなくなるよう、やさしくゆっくりとマドラーで混ぜます。


4_規定時間、低温抽出する

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ポットに蓋をし、規定の時間(今モデルでは約8時間)、冷蔵庫にいれ、抽出を待ちます。この時、コーヒーの酸化を防ぐためラップをすることがポイントとなります。


「空気に触れる限り酸化は免れません。酸化はコーヒーの風味を悪くするので、メーカーさんの説明書にはないと思いますが、ラップをすることをおすすめします。また、ラップをすることで冷蔵庫の匂いがコーヒーに移ることも防げます」(サトウさん)


規定時間が経てば、コールドブリューで淹れるコーヒーの完成です。



技巧派が教えるマル秘テクニック


さて、上で紹介した4ステップで基本のコールドブリューは解説できましたが、ここからはコーヒーを熟知するサトウさんが教えてくれた、コールドブリューコーヒーを”さらに”美味しく楽しむための裏技をお伝えします。


マル秘テクニック1_オイリーな豆は20%は湯で抽出

 出典  Funmee!!編集部


水出しコーヒーなのに湯!? この禁断のテクニックにはサトウさんならではの理論による裏付けがあるのです。


「コールドブリューでは、浅煎りの酸が感じられる豆がよく用いられます。さっぱりしていて飲みやすいという側面ががありますが、そもそも低温の水では苦味や甘みの源である親油性成分が引き出しづらいことにも起因します。では、甘みや苦味のある豆の場合、どうすれば良いのか。答えば湯を使うことです。規定量の20%程度の湯を最初に注ぎます。この工程で親油性分を引き出すことができるのです。あとの80%は水でOKです。この方法で甘みや苦味のあるコーヒーを楽しむことができますよ」(サトウさん)


この方法であれば、甘みと苦味が堪能できるブラジルも、コールドブリューでポテンシャルを引き出すことが可能。焙煎は親油性成分を引き出す深煎りがおすすめです
 出典  Funmee!!編集部
この方法であれば、甘みと苦味が堪能できるブラジルも、コールドブリューでポテンシャルを引き出すことが可能。焙煎は親油性成分を引き出す深煎りがおすすめです

マル秘テクニック2_アイスコーヒーはストローが必須

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「ご説明した通り、アイスコーヒーは低温であるため香りが立ちづらいものです。折角選りすぐった豆で成分をじっくり抽出しているのですから、最大限香りも楽しみたいものですよね。そんな願いを叶えるのがストローなんです。ストローなしでグラスに口をつけると、舌が上向きに反り返り、コーヒーは喉へ抜けていってしまいます。一方、ストローを用いると、コーヒーは口の中にゆったりと入っていき、口内の温度で鼻腔に香りが上がります。この違いは飲み比べれば歴然ですよ。ぜひお試しください」(サトウさん)


マル秘テクニック2_飲みきれなければ保冷タンブラーに

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「飲みきれる量を作るのがベストですが、もし余ってしまった場合には酸化が大敵となります。対策法は、しっかりと密閉できるステンレスなどのタンブラーで保存することです。もちろん限度はありますが、2、3日であれば劣化は微々たるものとなります。そのまま外出に携えることもできますし、おすすめのテクニックです」(サトウさん)


いざ、コールドブリューのある生活へ!


基本的な知識とコツさえつかめば、決して難しくないコールドブリュー。裏技も駆使すれば、水出しコーヒーの楽しみは際限なく広がるはずです。コールドブリューでの好みの豆を見つける過程も楽しいはず。ぜひ、あなたのコーヒーライフにコールドブリューを加え、より豊かな時間を手にしてみてください。


 出典  Funmee!!編集部

記事でも登場したコーヒー粉と水だけでアイスコーヒーが作れる浸漬式コールドブリューポット。

■撮影協力

The NorthWave Coffee(ザ ノースウェーブ コーヒー)

東京都江東区高橋14-24

TEL:03-6659-2929

営業:7:00~9:00、12:00〜19:00

休み:不定休

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文・写真:諸橋 宏(Hiroshi Morohashi)

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2018年8月17日
Funmee!!ライター
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