【僕のサン=サーンス】#10 2度目のお稽古『白鳥』最初の4小節(前編)


いつの日かの憧れに本気になって早2カ月……。

 

名曲『白鳥』を弾きたい一心で迷走する連載企画「僕のサン=サーンス」第10話は、2度目のお稽古。どこまで弾けるようになったか気になるでしょ?



まずは冒頭の4小節を徹底的に習う!

基礎練習もひっくるめて、とにかく『白鳥』にトライします

 出典  Funmee!!編集部


七夕にマイ・チェロを手に入れてから2カ月余り。調子こいてFacebookで連載の告知などしたもんだから、知り合いからは「チェロどうなの?」と聞かれまくる始末。どうなのかを一番知りたいのは僕自身だ。

 

そんなこんなで2回目のお稽古の課題は、『白鳥』の冒頭4小節を徹底的に習うこと。全体でも3分程度の『白鳥』における冒頭4小節は約20秒。ただしその短時間のメロディが『白鳥』の肝だ。いや、要か? サビと呼ぶのがふさわしいか?

 

いずれにせよ、出だしを決めることができればサン=サーンス大先生も草葉の陰でほくそ笑んでくれるに違いない。



ビギナーの独学1/YouTubeを見まくる

「見て見て先生」と屈託のない生徒さん

 出典  Funmee!!編集部


僕は楽譜が読めないが、『白鳥』さえ弾ければいい素人にすれば大した問題じゃない。なぜか? 見て聞いて学べばいいから。

 

そこでYouTube。『白鳥 サン=サーンス』で検索すると、けっこうな数の動画が出てくる。いやまったく便利。そんな動画の中から、指の位置と弓の動きがよくわかるものを選び、勝手にYouTube師匠と名づけて見まくったのだった。



「この人がYouTube師匠? 私、知らないなあ」と先生

 出典  Funmee!!編集部


クラシックの人にすれば、楽譜を基準に話をしてほしいはずだ。しかしアキコ先生は素っ頓狂な素人にも笑顔で付き合ってくれる。優しい先生でよかった。

 

ひとつ聞きたかったのは動画、いや奏者によって使う指や弓の動かし方が違う理由だった。クラシックと言えば「こうあるべき」とすべてが確定しているものと思い込んでいたが、実はかなり自由なんじゃないか?

 

「まったく自由ではないけれど、ボウイング※に関してはある程度奏者の任意なんですよ」とアキコ先生。「それと、楽譜の編さん者によっても指示が変るんです。要するに、ボウイングでどんな表情をつけたいかまでを含めてチェリスト、ということですね」。なるほど。深いねぇ。


※ボウイング…弓をどのように動かすかという方法。運弓法(うんきゅうほう)ともいう。



ビギナーの独学2/ピチカートで音を拾いまくる

ボンボンとピチカート奏法で意外に得意げな生徒さん

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ピチカートと言えばファイヴ。または♪東京はぁ夜の七時ぃ……。ごめんなさい。弦を指ではじく奏法のことでした。

 

YouTubeを見まくっているうちに、見様見真似で音を探りたくなったのである。とは言え弓を使うのは難しいので、指ではじいてYouTube師匠との同調を繰り返した。で、これはギターをやっていた恩恵だけど、意外に早くそれなりに指が動かせた。音の正解率は70パーセント程度だろうか。これ、ボンボンとウッドベースみたいでかなり楽しいのである。



指ではじくピチカート奏法。正しい弾き方に矯正された後の図

 出典  Funmee!!編集部



アキコ先生の指導1/「指が違うかなあ」

「もう一回弾いてみて」と言った先生に、出だし間もなく中指をつかまれる生徒さん

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好事魔多し。っていうか、素人は浅はかだ。一通り最後までピチカートで音を拾えちゃいましたと得意げに披露したところで、アキコ先生に中指をつかまれた。

 

「チェロでは指番号2と3、中指と薬指を広げて押さえません。トナオさんは音探しを優先するあまり、自分の押さえやすい指使いになっていますが、単音を狙いに行くのは危険なんです」。危険って何が?

 

「チェロの場合、正確な音階を奏でる上で指の位置関係がとても重要です。時と場合によりますが、基本は指1本ではなく、他の指を使ったフォームで押さえること。それで覚えること!」



これが我流。次に弾くべき音を押さえるための人差し指と、今弾くべき音を押さえる薬指がばっくり広がっています。ギターの癖が出ております

 出典  Funmee!!編集部

これは指導後。今弾くべき音を小指に変更。力のかかり方も変わります。「これでもまだ薬指が中指に引っ張られていますが」と先生

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「的確な音を出すためにも、他の指と連動したフォームで、これも時と場合によりますが、置けるだけ指を置いて弦を押さえるのが大事」と先生

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アキコ先生がおっしゃる通り、確かにその辺が独学の危なっかしいところだ。ギターの手癖はチェロでは通じない。でもよかった。あと2週間お稽古が遅かったら、僕は我流の泥沼から抜け出せなかったかもしれない。ああ、教わるって本当に大事。

 

などとぬるま湯に安堵するような気分でいたら、今回の文字数が尽きた。薬指で押さえていたところを小指に直された個所は、出だしからわずか4音目! しかもまだ弓で弾いてさえいない。「まぁ、こんな感じが数年は続きます」とアキコ先生は涼しい顔で言う。そしてお稽古は続く……。



「じゃ2小節目、行きましょうか」と先生。口数が減る生徒さん。2回目のお稽古(後編)に続きます!

 出典  Funmee!!編集部




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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:篠田麦也(Bakuya Shinoda)



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Funmee!!編集部

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