カエルに魅せられ世界を行く!カエルハンター・鍋田陽二さん


休日には精力的に生物を探して自然の中を歩き、見つけては観察するフィールドワークを楽しむ鍋田陽二さん。

 

国内外を問わず、カエルやトカゲといった両生爬虫類をメインに生き物観察をしているそう。カエルにいたっては国内に生息する種類で観察できていないものは、あと2、3種というから驚きです。そこまでハマるカエルの魅力について鍋田さんに話を聞きました。



仕事以外の楽しみで釣りを始めたはずが、いつの間にかカエルに……

普段はアパレル会社を経営する鍋田さん

 出典  Funmee!!編集部


―― なぜ、カエルにハマったんでしょうか。

 

カエルというか、生き物観察にハマったのは、もともとは東日本大震災がきっかけなんです。社会人になってから仕事ばかりしていて、しかも仕事が楽しくてやりがいがあり、ともかくずーっと仕事一辺倒。しかし、2011年の震災を経て、社会の変化を肌で感じて、自分の働き方も見直しました。

 

仕事は楽しくてやりがいはあるけれど、社長業なので会社や社員のことを考える必要もありますし、自分だけの問題ではありません。もっと純粋に、自分だけの楽しみとして、かつて好きだった釣りをもう一度やってみよう、と思ったんです。

 

暮らしている東京から気軽にクルマで行けるシーバス釣りから始め、気づいたらタイの釣り堀、ネパールでの渓流釣り、アマゾンでのピラルクー……と、若い時にできなかった遠征釣りにどんどんハマっていきました。そして国内は北海道の阿寒湖に向かったんです。

 

 

―― 北海道の阿寒湖というと、トラウト(マスの仲間)釣りですか?


はい、トラウトです。が、釣れませんでした……。うーんだめだなとガックリとうなだれたその時、いたんです。「エゾアカガエル」が……。



カエルにハマった第一号、エゾアカガエル(北海道)

 提供  鍋田陽二さん


―― この写真がエゾアカガエルなんですね。このカエルは北海道ならでは?

 

そうです。北海道での固有種です。北海道まで釣りに来て釣果のなかった自分にとって、このカエルとの出会いが慰めになりました。日本には外来種含めて自然に繁殖したものとして46種類のカエル(45種とも言われている)がいて、なかには広く分布している種類もあれば、このカエルのように限られた地域にしか生息していないものもいます。

 

この北海道ならではのカエルとの出会いが、釣れずに落ち込んでいた僕にとって救いとなりました。そして、僕のカエルハンター活動が始まったのです。



―― カエルハンターというのは、どんな活動をされるのでしょうか。

 

カエルハントの面白さは、宝探しと似ていると思っています。「ここへ行けば、こういうカエルがいるだろう」と予測をたて、フィールドへ行き、カエルを見つける。その繰り返しです。

 

実は日本のカエルは減少傾向にあるので、フィールドで出会ったカエルなど両生爬虫類は、手に取ることはあっても、写真に収めた後、野に戻しています。



アフリカツメガエル(和歌山県)。外来種だが各地で増え、定着しつつある

 提供  鍋田陽二さん


―― カエルにハマってしまう面白さとは?

 

カエルの模様やデザイン、ディティールも見ていて飽きません。


例えば、奄美大島に生息する「アマミイシカワガエル」は、背中や手足に斑紋のある種で、その斑紋には黄金色に見える部分があり、美しいです。ちなみに学名はラテン語で「金色に輝くきれいなカエル」。日本の固有種のなかでは大型で、迫力もあります。



日本の美しいカエルの代表格、アマミイシカワガエル(鹿児島県)

 提供  鍋田陽二さん


それからカエル探しを通して現地の人と交流するきっかけにもなります。ときには海外にまでカエルを探しに行くんですよ。


つまり、カエルハントは探す過程も楽しいし、何より人との交流や自然の姿を通して視野が広がるんですよね。



海外でもカエルハントに勤しむ


―― 海外でも日本のようにうまく見つけられますか?

 

出会えるときもあれば、そうでは無いときもあります。海外でのカエルハントといっても、仕事の出張のあとに休日を作って行ったり、釣り旅と抱き合わせで行うことが多いです。


以前、釣り仲間とガイアナ共和国のアマゾンに行った時、釣りたかった魚が早くも釣れてしまったので、残りの滞在はカエル探しをメインにしていました。なかなか目当てのカエルが見当たらなく、現地の人に、どうしても探したいカエルがいるが見当たらない、と相談したんです。そうしたらガイドさん、「じゃあここの沼の水、抜いてみようぜ」となって。



沼の水を抜くマシンを調達してきた現地ガイドさん

 提供  鍋田陽二さん


―― 沼の水を抜く! テレビ番組みたい。なかなかできない経験ですね。

 

そうなんです。発想がすごい。沼というか、大きな水溜りのようなところです。そのうちガイドさんの親戚も手伝ってくれて、皆でカエル探し(笑)。結局見つからなかったのですが、こんな旅はカエルでも探さないかぎりできません。

 


―― そしてアマゾンでのカエルは見つかったのでしょうか……

 

「ピパピパ」というカエルだったのですが、残念ながら見つからなかったんです。とはいえ、水を抜くだとか、ツアーや観光旅行ではありえない出来事が起きたりするのが本当に楽しい。

 


―― 海外でのカエルハントはなかなかハードそう。

 

いえいえ、結構見つけられますよ。ほかにも、韓国の北部、北朝鮮との国境付近に生息する「チョウセンスズガエル」を見に行った時は、バッチリ観察することができました。美しい鳴き声と、古代から変わらぬ姿をしているというカエルなんです。背中は緑色と黒のブチなんですが、お腹の模様がとても独特なんです。



チョウセンスズガエルのお腹の模様(韓国、北朝鮮との国境近辺)

 提供  鍋田陽二さん


―― すごい模様! こうみているとカエルハント、面白そうですね。

 

そうでしょう。なんといっても、自然の中を散策してカエルを見つける楽しさや、それを写真に撮る「収集」としての楽しみがカエルハントの面白さです。その場で特定できないものは多めに写真に撮っておいて、帰ったあとに調べて謎解きするのも楽しいですし、自分のカエルの知識も向上していくことも楽しいですよ。自然の中でのサバイバル力が上がっていくのも楽しさのひとつですね。

 

また、あまり注目されていませんが、カエルは自然環境において生き物の生態系を維持するのに非常に重要な生物のひとつです。カエルを通してフィールドワークをしていると、自然環境をよい状態で維持することの大切さを感じ、考えるきかっけにもなりますね。




■プロフィール

鍋田陽二さん

魚類と両生爬虫類をこよなく愛する冒険家&ハンター。株式会社ハイブリット販売 代表取締役社長。1970年福岡県生まれ。Facebook上の釣り愛好会『魚塾』の塾長も務める。Facebook Twitter ブログ



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文:井上綾乃(Ayano Inoue)

写真:飯村ゆみ(Yumi Iimura)



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Funmee!!編集部

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