
ベルギービール界の伝統・クリスマスビールを知ってほしい!【とあのベルギービールな話 第1回】
はじめまして! ビアイラストレーターの“とあ”です。ビールをテーマに絵を描いているので、このように名乗っています。

そんな私も、昔は「ビールは苦くてまずいもの」と思っていました。ですが、就活時にたまたまかわいいラベルに惹かれてベルギービールを購入したんです。そのおいしさに衝撃を受け、以来のめり込むことに。今では活動のテーマにするくらい大好きです!
このコラムでは、ベルギービールの魅力を、イラストをまじえてお伝えしていきます。
ベルギーのクリスマスは、ワインじゃなくてビールを飲む!
もうすぐクリスマス! 実はベルギーには、「クリスマスビール」といって、このシーズンに合わせて醸造された、特別なビールを楽しむ文化があるんです。
クリスマスといえばキリスト教のお祭りですが、聖餐と呼ばれる儀式ではイエスの体と血に例えられたパンとワインが振る舞われてきました。日本でも、クリスマスのお酒といえばワインのイメージですよね。
しかしベルギーでは、キリスト教が国教なのにワインではなく、ビールが飲まれ続けてきました。その理由は、ベルギーでワインの原料となるブドウがあまり採れないからとか、ビールの方が保存に優れていたからなど、いろんな説があります。

結果としてベルギーではワインよりビールが多く消費されたため、赤ワインの代わりになるような、アルコール度数が高く濃い色をしたビールが作られてきたといわれています。
クリスマスビールってどんなビール?
ノエルビールやウィンタービールとも呼ばれているクリスマスビールですが、もう少し詳しく特徴をご紹介します。
日本のビールと全然違う!クリスマスビールのびっくりな材料・味とは……?

基本的なビールの材料といえば麦芽・ホップ・酵母・水ですが、クリスマスビールではそれに加えてシナモン・クローブ・リコリス・バニラなどの香辛料が使われているのが特徴です。
飲んでみると、複雑な甘みとスパイシーな味わい。ビールなのに、ドイツのシュトレンやイギリスのミンスパイなど、ドライフルーツを使った菓子パンの味を連想します。

一方で、アルコール度数は7%〜13%と高く、日本でよく目にする金色をしたビールとは味も飲み方も全く異なります。
少しぬるめで、ゆっくり飲むのがおいしいですよ。
最大の魅力は、かわいくておしゃれなラベル!
クリスマスビール最大の魅力は、何と言ってもかわいいラベル!
雪が積もる様子やサンタの衣装を着たキャラクターなどで彩られていて、すごくおしゃれなんです。
見ているだけでテンションが上がります!

ちなみに、私が初めて飲んだクリスマスビールは「ルロワ クリスマス」(上記イラスト中央)。
美しい雪景色のラベルはとても幻想的で、今でも印象深く記憶に残っています。
ぜひ味わってほしいオススメの一本「アベイデロック スペシャルノエル」

クリスマスビールで特にオススメしたい銘柄がこちら、「アベイデロック スペシャルノエル」。
左側のグラスとビンがそうです。
フランスの国境に近いベルギーの村にある、アベイデロック醸造所で作られています。
アベイデロックの「アベイ」とは、修道院の意味。ベルギーでは修道院でビールが作られているんです!
ヨーロッパでは安全な飲み水を確保するのが難しかったため、古くから修道院で保存の利く飲み物としてビールが作られ、振る舞われてきました。
そのためか、ベルギービールのラベルにはときどき「酔っ払った修道士のおじさん」が登場します。

不謹慎かもしれませんが、なんだかクスっと笑っちゃうような愛嬌がありますよね。
バニラ風味がたまらないアベイデロックの味を描いてみた。
文章だけでなくイラストにすることで、特徴をもっと伝えられると思い、
アベイロック スペシャルノエルの味を描いてみました!

このビールの特徴は、スパイスの一つにバニラを使っていること。
そのため、ナッツやコーヒー、レーズンが混ざったような独特の甘みがあり、バニラの香りで上品な仕上がりに。
この風味がなんとも言えぬ大人な気分にさせてくれるので、私にはたまらない一杯です。
また、みなさんに体験していただきたいのが、「時間経過による味わいの変化」。
時間が経つにつれて、香りや味わいが強くなったり、違う味わいが出てきたり……と、ビールが色々な表情を見せてくれるんです。
ぜひおしゃべりや食事などを楽しみながらゆっくり味わってみてください。
ぜひクリスマスビールをお楽しみあれ!
こんなに魅力的なクリスマスビールなので、ぜひみなさんにも味わってもらいたい!
最後にお気に入りのお店をご紹介します!



とあ