#08 日産 フィガロ(スペック編)
最近は路上で見かける機会も少なくなった、でも鮮烈に記憶に残る、少し変わった魅力的な日本発のクルマたち。
そんなクルマとの毎日を楽しんでいるオーナーさんに愛車の魅力を語ってもらう「ヘンアイ国産自動車の会」。
今回は「日産 フィガロ」について、東京都在住の濱中奈緒子さんを取材してきました。
バブル期を象徴する、尖りまくったデザイン
’80年代後半〜’90年代初頭までに初代マーチをベースとした4モデルが生産された、日産パイクカーシリーズ。「フィガロ」はその最終作にあたるモデルで、シリーズ唯一のターボエンジンを搭載し、キャンバストップの屋根を開ければオープンになるというバブル期を象徴するようなゴージャスなスタイリングで登場しました。
’91〜’92年の2年間のみの生産で、限定2万台で抽選販売されました。パイクカーの”pike”とは槍の剣先を示すもので、おそらくシリーズに一貫した尖ったコンセプトを指すネーミングだと考えられます。
フィガロ以前の日産パイクカーシリーズである、Be-1やパオにはないディテールとして、フィガロの2ドアクーペのボディがあります。これはフルオープントップと呼ばれる、専用設計のもの。
ソフトトップを手動でリアの収納にしまって、サイドパネルを残したオープンスタイルに簡単に変更することができます。天気のいい日などは外の空気を感じながら優雅なドライブを満喫することも可能なのです。
かわいい見た目だけど走りも侮れない、ニクいやつ
’80年代の日本車は、ハイパワー競争が繰り広げられていた時代。ターボやスーパーチャージャーなどを装備するモデルが多く発表され、フィガロもその流れを汲んでターボエンジンを搭載しています。
見た目はレトロでかわいらしい顔つきですが、走りにコンシャスなドライバーにも十分なスペックを備えています。元々本格的なスポーツカーを乗り回していたオーナーの濱中さんは、街中での余裕ある走りに加え、山道などでもコンパクトな車体とターボエンジンを活かしたクイックな走行性を楽しんでいるそうです。
細部のデザイン性の高さに注目
オーナーの濱中さんは、フルオリジナルの装備を重視して車体を探し、この車両と出会ったそうです。旧いアメリカ車のような流線型の美しいボディラインや、スイッチのデザインなど、どこまでも造形美にこだわった当時ならではの作りこみが魅力だと語ります。
本革のシートやインテリア、ダッシュ周りは全てホワイトで統一した高級感のある空間に仕上げられています。さらに、スイッチやレバー類など小さなパーツまで、ワンオフパーツのような凝ったデザインで設計されている点も見逃せません。限定2万台と言う希少性もさることながら、細部まで作り込まれた丁寧さもオーナーを満足させるポイントであり、登場から25年以上経つ今でもフィガロの魅力が廃れない理由の一つといえるでしょう。
フィガロのような小さいクルマは、かわいく個性的なスタイルが魅力的で、エンジンを回して運転するのも楽しい!
そうした小さいクルマならではの魅力を、さまざまなモデルのオーナーやプロショップの声を通してたっぷり紹介している一冊です。

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■プロフィール
濱中奈緒子さん
結婚前はRX-7に乗っていたこともあると言う、硬派な車歴を持つ主婦。フィガロのかわいらしいスタイリングに惚れ込み、日常使いからワインディングまで幅広くドライブを楽しんでいる。
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文:金原悠太(Yuta Kinpara)
写真:澤田聖司(Seiji Sawada)
