【ザ・使い込んでる部】#06 サイクリストの情熱を取り戻してくれた、ラバネロの自転車


使い続けるのには理由がある。愛し続けられるのには想いがある。そんな趣味にまつわるこだわりの“私物”を紹介する「ザ・使い込んでる部」。

 

連載第6回目はWEBデザイナーの楢崎雅也さんにご登場いただきます。楢崎さんは自転車競技で国体出場7回、全日本自転車競技選手権大会で第4位という華麗なる経歴の持ち主。現在では2010年にオーダーした「ラバネロ」の自転車で、気ままにサイクリングを楽しんでいます。ここに到るまでは、第一線で競技に取り組んできた選手だからこそ抱く苦悩もあったようで……。



サイクリストが憧れる自転車

「ラバネロのショップは西武池袋線・桜台駅にあります。自分だけの1台を求めて、年齢性別を問わず自転車好きが集まる場所なんですよ」と楢崎さん

 出典  Funmee!!編集部


「ラバネロ」はタカムラ製作所のオリジナル自転車フレームブランドで、フルオーダーの自転車製作を行っているんですね。購入したのは「ラバネロ」の代表兼、フレームビルダーを務める高村精一さんにご挨拶に伺ったのがきっかけなんです。

 

というのも、僕は大学時代、高村さんに大変お世話になったんですよ。高校、大学と自転車競技を行なっていたのですが、高村さんも自転車部出身で、選手として名を馳せていたんです。高村さんに自転車を教わった選手がどんどん強くなっていたので、僕も教わりに行った。それでアドバイスをいただいた大学4年次だけ、結果が残せたんです。

 

あれだけお世話になっておきながら、お金のない学生時代は「ラバネロ」を買うことができなかったので、やっと買えるという感じ(笑)。ずっと憧れの自転車でしたから。



全精力を掛けた自転車を、嫌いになった時期もある

手にしているのは高校・大学時代に履いていた自転車競技用のアシックスのシューズ。懐かしそうに眺めます

 出典  Funmee!!編集部


実は僕、自転車が嫌いになってしまっていたんです。自転車競技を始めたのは高校へ入ってからですが、けっこう真剣に取り組んでいたんですね。

 

高校時代の種目は競技者2名によって行う「スプリント」。県大会3連覇、国体出場3回、高校3年では、九州大会4位になりました。大学はスポーツ推薦で日本大学の自転車部へ。日大の自転車部はオリンピック選手を数多く輩出し、当時インカレ総合優勝20連覇もしていた強豪校なんですよ。種目は「競輪」になり、国体出場4回、全日本アマチュア自転車競技選手権大会4位、最高成績は全日本自転車競技選手権大会第4位です。これが高村さんに自転車を教わった年ですね。

 

全日本自転車競技選手権大会ではプロと一緒に競技を行ったのですが、そこで圧倒的な力の差を目の当たりに……。プロとアマでは“世界”が違ったんです。そのレースで、プロに進む道は選択肢から消えました。

 

とはいえ自転車は好きでしたので、大学卒業後、仕事が休みの日に乗ってみたんですね。そうしたら学生時代のスピードが出せなくなっていた。信号が青に代わり、グッと踏み込んだ瞬間から、当時のように身体が動かせなくなっていたんです。「あれ? 自転車が楽しくない……」って。

 

それで自転車もユニフォームもヘルメットもすべて手放しました。地元の高校生に「使ってね」と言って。自転車が嫌いになったというより、むしろショックだったのかもしれませんね。



自分の身体にぴったりなフレームとの出会い

フレームのモデルは「EQUIPE SAT」、素材はクロモリ

 出典  Funmee!!編集部


それからは移動手段としてママチャリに乗るくらい。でも友人には「ラバネロ」を勧めたりして、みんなお店に入り浸るようになっていましたから、ふと久しぶりに伺ってみたんです。

 

高村さんにお会いするのは大学以来でしたが、「おお、何しに来た」って(笑)。そこで「楢崎は手足が短い典型的な日本人体型だな~」とか言われながら計測してもらったら、いいフレームがあると仰るんです。それは現在も実業団で活躍している平塚吉光選手が使っていたフレーム。自分と体格も似ていますし、あらゆる面で僕にぴったりでした。

 

自転車ってフレームがすべてなんですよ。サドルを上げ下げして調整すればいいものではない。無理をして身体に合わせている自転車は、見た目にもよくないし、乗りにくいと思いますね。

 

フレームも僕の好きな色に塗り替え、クランクはいつか使ってみたかったイタリア・カンパニョーロ社製、サドルはセライタリアにするなど、高村さんと相談しながら、あらゆるパーツにこだわりました。



「ラバネロ」が自転車の楽しさに改めて気付かせてくれた

通勤時はカジュアルな出で立ちで。秩父方面にサイクリングへ行った際、「ラバネロ」ユーザーとすれ違うと、手を上げて挨拶を交わすのだそう

 出典  Funmee!!編集部


完成車に乗った時、本当に気持ちよかったんです。これまでの自転車と感覚が全然違った。グイグイ前に進んでくれるんですよ。フレーム、組み方、調整で、自転車は全く別物になる。風を切っている様が見えるというか、これまで知らなかった自転車の魅力に気付かせてくれました。また自転車を好きになることができたんです。

 

僕の父も日大・自転車部出身の元選手で、日本2位という成績も残しているんですね。レース展開における駆け引き、ありえない速さで走るスピード感、勝利する喜びなど、自転車に惹かれた理由はたくさんあるんですけど、父が果たせなかった“日本1位”に僕がなりたいという気持ちもあったんだと思います。いま考えると。父が過ごした環境、経験、好きだった自転車を、自分もやってみたいと感じていたんでしょうね。

 

現在は通勤で使ったり、頭をスッキリさせたい時にサイクリングに出掛けています。もう“勝つ”必要もありませんしね。自転車は自分の人生を切り拓き、自信を与えてくれた。いまの環境があるのは、全部自転車のおかげなんです。自転車って、やっぱり楽しいですね。




■プロフィール

楢崎雅也さん

1979年大分県生まれ。2002年日本大学を卒業後、営業職などを経て、2015年にWEBサイト制作会社、「ありのまデザイン」を設立。フリーランスwebデザイナーnaraのブログ

 


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文:大森菜央 (Nao Ohmori)

写真:六本木泰彦 (Yasuhiko Roppongi)



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Funmee!!編集部

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