
カヌー・カヤックは、気軽な水遊びになっていた!
川や海で見かけることも多いカヌー・カヤック。水面と同じ低い位置から世界を見渡し、自由に進むことのできるカヌー・カヤックは、大人こそ醍醐味を感じられる水遊びと言えるでしょう。
そこで、カヌー・カヤックの楽しみ方や体験できる場所について、千葉県で日本最大級のカヌーショップ・クリアウォーターカヤックスを営む清水昭夫さんに教えてもらいました。
そもそもカヌー・カヤックとは?
カヌーとは、パドルを漕いで前に進む小型の舟の総称。素材や形が違ったり、大きさが違ったり、ひと言でカヌーといっても種類が豊富にあります。艇の長さや幅、ボトムの形状などにより艇の性能や特徴が異なり、艇の形状や漕ぎ方の違いによって、カヌー、カヤックと名称が変わります。まずはいろいろなタイプのカヌーを紹介します。
シーカヤック:Sea Kayak
海を旅するためのカヤック。コックピットの前後に荷室と浮力室を兼ねたハッチを備えているため、沈まない構造です。直進を補助するため、船尾に付いた舵(ラダー)をペダルで操作できるものや、船底に保針板(スケグ)と呼ばれるフィンを備えているものも多くあります。

シットオントップカヤック:Sit on Top Kayak
カヤックの上に座るのでシットオンと呼ばれます。中空構造のため浮力が強く、転覆しにくい船型をしており、現在は釣り用のカヤックとして多く使用されます。


リバーカヤック:River Kayak
川の流れの中で積極的に遊ぶ(リバーランニング)ためのカヤックです。流れの中での機動性を重視した構造で、スピンや操作をしながら川を下る遊びに適しています。


折り畳み式カヤック:Folding Kayak
フレーム(骨組み)とスキン(船体布)で構成され、折り畳めるカヤックは、陸上の運搬がしやすく旅に使いやすいのが特徴。川旅、海旅、それぞれに対応できるタイプがあります。「ファルトボート」とも言われます。


オープンカヌー:Open Canoe(Canadian)
カナディアンカヌーとも呼ばれ、カヤックのようなデッキ(甲板)がないカヌーです。元来は樹皮で作られ、シングルパドル(単刃櫂)で漕ぎます。穏やかな水面で使うものが主流ですが、流れに対応するものもあります。


膨張式カヤック:Inflatable kayak
空気を入れて膨らませる、ゴムボートならぬゴムカヤックのことです。主にレクリエーション用として使われます。川下り用のゴムカヤックは、アヒルが動く様を連想させるのでダッキー(Duckies) とも呼ばれます。


カヌー・カヤックの遊び方が知りたい!
川も、海も、湖も。どんな水辺でもカヌー・カヤックを楽しむことができます。カヌーの世界では「川旅」、「海旅」などと言い表すのも“オツな遊び”感が出ています。それぞれのロケーションの魅力と遊び方を比べてみて、自分の行きたい水辺を見つけてみたいものです。
流れに身をまかせる川旅
流れのある川での遊び方は、流れに身をまかせること。山間や時には雄大な湿原のなかで大きな空に囲まれ、漕ぐことよりもゆったりと流れていくことを楽しみます。
さらに、練習を重ねていけば、川遊びの楽しみが広がります。
上級者になれば、流れのホール(落ち込み)でカヤックを回転させたり、サーフィンのように波乗りしたりと、漕いで進むだけではない遊びができます。技がひとつできることで楽しみが増えます。

ダイナミックさが魅力の海旅
海の魅力は、広大な大海原を小さなカヌーで漕ぎきる爽快感! 沿岸域ではシーカヤックでしか入れない海食洞窟や切りたった崖の間をすり抜け、透明度の高い水の上を漕ぐことができます。

他のアウトドアアクティビティと楽しめる湖
波がなく初心者でも安心なのは、比較的小さな湖。湖畔でバーベキューをしながら、みんなでカヌー遊びするのもおすすめです。湖ではどんなカヌーでも遊ぶことができます。
水面で魚と対峙するカヌーフィッシング
また、カヌーの遊び方は漕ぐことだけではありません。釣竿を積めば、フィッシングカヌーとして楽しむことができます。広い範囲でポイントを探すことができ、自然のなかで静かに釣りができると最近人気のカヌーフィッシング。川でも海でも湖でも、魚がいればどこでもカヌーフィッシングに挑戦できます。

旅するように。大人がカヌー・カヤックを楽しめる場所7選
カヌー・カヤックは、全国に体験スクールやツアーがあります。週末を利用して、または旅行を兼ねて、ぜひ水旅に出かけてみてください。カヌー・カヤックから見る景色は、いつもと違う視界が広がっていて、感動すること間違いなし!
全国の川・海・湖でカヌー・カヤックを体験できるおすすめの水辺を清水さんにセレクトしてもらいました。
川でカヌー・カヤック体験!
カエルアドベンチャー(栃木県那珂川)
那珂川は関東きってのカヌーリバーツーリングのメッカ。カエルアドベンチャーは栃木県を拠点に、那珂川、鬼怒川、中禅寺湖などをフィールドとして、さまざまなレベルのスクールやツアーを開催。シーズン中、人気の那珂川カヤック体験スクールは毎日開催されています。
栃木県さくら市狹間田408-5
カヤック体験コース11,000円、カナディアンカヌー体験10,000円など
くまのエクスペリエンス(和歌山県熊野川)
世界遺産登録の川である熊野川は、本物の清流でカヤックツーリングできる数少ない川。くまのエクスペリエンスでは、吉野熊野国立公園の熊野川・北山川をメインに、ビギナー向けのツアーや激流を目指すアドバンストクラスまでレベルに合わせてスクールを開催。完全プライベートトリップなので個人の希望に合わせて楽しめます。また熊野灘でのシーカヤックツアー・スクールも開催しています。
和歌山県田辺市本宮町本宮159-1
1dayカヤック13,000円、2days36,000円など
四万十・川の駅 カヌー館(高知県四万十川)
誰もが憧れる、最後の清流といわれる四万十川へ。カヌー館の開催するカヌーツーリングでは、人工物がほとんど見えないエリアもあり、四万十の大自然を満喫できます。1日8kmツーリングのゴールは四万十川名物ともいえる岩間沈下橋! 春秋限定や冬季限定のツーリングメニューもあります。
高知県四万十市西土佐用井1111-11
半日4㎞ショートツーリング5,400円、1日8㎞ツーリング8,100円など
海でカヌー・カヤック体験!
ソルティーズパドルスポーツ(千葉県館山)
館山は一年中気軽にシーカヤックができる、首都圏きってのフィールドです。ソルティパドルスポーツはシーカヤック・SUP専門店。駐車場、シャワー、更衣室も完備されていて、半日体験や5日間のマスターコースなど、用途に合わせてコースを選べます。年中暖かく海の透明度が高い南房総の海。シーカヤックでツーリングすれば、よく晴れた日には対岸の三浦半島、富士山、伊豆半島なども見ることができます。
千葉県館山市香178-8
半日カヤック体験7,500円、1dayツーリング11,800円など
ケラマカヤックセンター(沖縄県座間味島)

那覇から西へ約40㎞に位置する慶良間諸島。ケラマカヤックセンターは慶良間諸島のひとつ、座間味島を拠点にしています。驚くほどの透明度・ケラマブルーの海をシーカヤックでアイランドホッピングし、天気次第で無人島に行くことも。美しい魚やサンゴ、高確率でウミガメに出会えるなど、美ら海ならではの体験ができます。
沖縄県島尻郡座間味村座間味125-2
半日ツアー7,000円、1dayツアー12,000円など
湖でカヌー・カヤック体験!
ゴーネイチャー(熊本県班蛇口湖)
熊本県菊池市に位置する竜門ダムの斑蛇口湖(はんじゃくこ)。ゴーネイチャーでは斑蛇口湖をフィールドに、カヤックで数々の入江を探検したり、湖に流れ落ちる滝の裏にまわったり、滝くぐりをしたりできます。タイミングが良ければ、虹のなか漕げることも! ちょっとした茶菓子付きの船上ティータイムサービスや、写真データの無料プレゼントがあるのも嬉しいポイントです。
熊本県菊池市龍門870
カヤックツアー一人乗り5,500円・二人乗り5,000円、カナディアンカヌーツアー5,000円、冬季限定の朝活ツアー3,000円など
都会でもできる! カヌー・カヤック
アウトドアスポーツクラブZAC(東京水路)
東京下町運河でカヌー体験できるのがこちら。スカイツリーや東京の街並みをいつもとは違う目線で眺め、桜や紅葉など四季折々の変化も感じながら、都内でアウトドアアクティビティを楽しめます。出社前に参加できる朝活カヌーや、夜景の中を漕ぐ夜景ツアーなど、東京ならではの個性的なツアーも。少人数制で平日1人でも参加可能! 女性や家族連れにもおすすめです。
東京都江戸川区北葛西2-1-39
朝活!カヌー体験3,500円、東京スカイツリーカヌーツアー5,500円、スカイツリーカヌー夜景ツアー5,500円など

■プロフィール
清水昭夫さん
株式会社クリアウォーター代表取締役。千葉県千葉市に日本最大級のカヌーショップ100坪100艇展示・見て触れて体験してをキーワードにクリアウォーターカヤックスを経営。北は釧路川から南は西表島まで全国のカヌーフィールドをお客様と一緒に旅をしている。

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文:山岡可恵(Kae Yamaoka)
