特別編 脇阪寿一、スープラを買う!(前編)
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特別編 脇阪寿一、スープラを買う!(前編)

スーパーGTで3度の総合優勝を果たした脇阪寿一さんが、2002年式の極上中古スープラを購入。3度のチャンプのうち、一度はスープラと共に勝ち取った名誉ではあるけれど、かつてのチャンピオンドライバーにとって、なぜいまスープラか? 物語前編は、スープラの思い出話を。

ここまでコンディションのいいノーマルは残っていない!?

スーパーGTを引退しても、人気実力ともナンバー1といって過言ではないプロドライバー・脇阪さん。彼が思わず衝動買いしてしまったスープラとは?
 出典  Funmee!!編集部
スーパーGTを引退しても、人気実力ともナンバー1といって過言ではないプロドライバー・脇阪さん。彼が思わず衝動買いしてしまったスープラとは?

――「ミスターGT」と呼ばれた脇阪寿一さんと、シルバーのトヨタ・スープラ登場! それにしても極上のコンディションですね。

 

脇阪 でしょ。2002年の最終型RZ。見つけたときからほぼこの状態で、可能な限りノーマルに戻しました。


ヘッドライトのカバーやホイールカバーは新品に交換。タイヤも標準装備のブリヂストンPOTENZA RE040。レカロのシートはドライバーが乗り込む際に肩の部分が乗り手の体とこすれて、長く乗っているとほつれてしまう「スープラあるある」が目立っていたけど、それも当時このシートを扱っていたレカロの職人に張り直してもらいました。


唯一の非オリジナルは室内灯。元のオーナーが百均ショップのLEDランプに替えていたのですが、シャレでココは戻さずにいます。

 

――ここまでオリジナルで、しかも程度のいいスープラはまだ残っているんですか?

 

脇阪 たぶん、ないでしょ。製造終了後に中古車価格が下がると、チューニング好きの連中がこぞって買ったから、ノーマル車両はほぼ残っていない。映画『ワイルド・スピード』でスープラが使われたのも人気に火を点けたしね。

 

ヘッドライトなどの外装部品は、いまもトヨタにストックがある!
 出典  Funmee!!編集部
ヘッドライトなどの外装部品は、いまもトヨタにストックがある!

――そこで最大の疑問は、なぜいま脇阪さんはオリジナル・スープラを手に入れたのかです。もちろん、脇阪さんとスープラの間に深い関係があるのは承知しています。SUPER GTとその前身の全日本GT選手権で三度の総合優勝のうち、その中の一回はスープラで勝ち取ったものですよね。

 

脇阪 ありがとうございます。自分で言うのもナニだけど、レーシングドライバーとしてもっとも脂が乗った30代の話ですわ。スープラにはいろんな思い出がありますよ。うれしいのは、僕がドライブした青いスープラは、いまでも歴代GTマシンの人気ナンバーワンに選ばれることなんです。それもあって、現役ドライバーの引退セレモニーでは、永久保存車に指定された2002年のチャンピオンマシンに乗せてもらえました。


初めてニュルブルクリンク24時間耐久レースに出場した2010年は、コースを覚えるために現地でスープラが用意されていました。このときは同時にレクサスISFというクルマも準備されていて、チームメイトドライバーのアンドレ・ロッテラーと、最初はISFを取り合ったんです。

 

――新しめのクルマのほうが安心できそうだから?

 

脇阪 そうそう。でも、走り始めたら今度はスープラの取り合い。スポーツドライビングが何かを思い出させてくれたんです。その頃僕が乗っていたレーシングカーは、皆ATになっていたけれど、スープラの6速MTは本当におもしろかった。それはマニュアルのスポーツカーを経験した人なら、誰もが感じられる楽しさでしたね。


またこの6速トランスミッションの耐久性が高いんですよ。280PSを発揮する3ℓ 直6ツインターボエンジンも、ギリギリで280PSを絞り出す感じじゃない。スープラって、機械的に余裕を持った贅沢な造りだったんです。

 

 

 

人気があるのはオレじゃなくスープラなのか?

「このスープラ、理屈抜きにハンドルを握るのが楽しくて仕方ないんです」
 出典  Funmee!!編集部
「このスープラ、理屈抜きにハンドルを握るのが楽しくて仕方ないんです」

――じゃ、スープラのGTマシンも最初から速かったんですか?

 

脇阪 それは別。最初は最悪でしたよ。ブレーキかけるとすぐにリアがロックしてスピンしたり。でも、当時の僕は飛ぶ鳥を落とす勢い(笑)だったから、開発チームと必死で仕上げて、やがて自分の手足のように動くクルマになりました。

 

――確かに青いスープラ時代の脇阪さんはトガッてましたよね。

 

脇阪 もう昔の話なんで、それはいいんですけど、自分のスープラを買ってから「あそこ直した」、「ここ換えた」なんて話題をブログにアップすると、なぜかファンの反応が一気に高まるんです。もしやそれって、スープラでチャンピオンを獲り、「ミスターGT」なんて呼ばれるようになったけれど、人気があるのはオレじゃなくスープラだったのかと……。

 

――そんなことはないでしょう。

 

脇阪 いや、そうかもしれないんですわ。だから何というか、スープラを見つけてよかったです。


――どうやって探し当てたんですか?

 

脇阪 ネットでね。わっと検索したら、山梨のクルマ屋さんが持ってた。すぐに飛んで行きましたよ、今年の3月。それがこのシルバーのRZ。最初は見るだけのつもりでした。ところがクルマ屋が言ったんですよ。「運転してみますか?」って。運転したら絶対にアカンやろぉと思ったんですけどねぇ。思った通りになりましたわ。(後編へつづく)


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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)

取材協力:タイムズ24

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2018年7月26日
Funmee!!編集部
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