音楽
昔ながらの”音”を楽しむ、アナログレコードのススメ!

昔ながらの”音”を楽しむ、アナログレコードのススメ!


いま、レコードの人気が再燃しています。スマホやパソコンで楽曲をダウンロードして手軽にどこでも好きな音楽を聴くことが主流になりつつあるいま、昔を懐かしんで聴く大人たちやサブカルチャーとしてアナログな音楽に興味を持つ若者の間でアナログな音楽の楽しみ方が見直されてきているのでしょう。

 

そこで、古いレコードが奏でる美しい音を聴ける渋谷のロックバー、『33 1/3rpm(33回転)』のオーナーであり、長年の音楽ファン・レコードファンでもある伊藤滋さんにレコードとの出会いや、アナログならではの楽しみ方を教えてもらいました。



当時の音質を再現するには当時の聴き方にこだわるべし


―― まず伊藤さんがレコードの音に魅了されたきっかけを教えてください。


私が子どもの頃はインターネットも携帯電話もなかったから、家に帰ると音楽が最大の楽しみだったんですよ。いまはスマートフォンがあれば何でもダウンロードできるし、どこにいても音楽を聴けますよね。私たちの頃はラジオかレコードだけだから、好きな音楽を聴き込もうと思ったら、レコードを少しずつ集めるしかなかった。だから50代以上の世代で音楽が好きな人は音に対して貪欲な人が多いですね。いろんなものを我慢しなきゃレコードも買えなかった中で集めたものですから。どこかでハマったというよりは、その時の音楽との付き合い方がずっと続いてる感覚ですかね。



33rpmのカウンター席の奥にはレコードがずらりと並ぶ。店内の棚にストックされるLPレコードは3,000枚程度
 出典  Funmee!!編集部
33rpmのカウンター席の奥にはレコードがずらりと並ぶ。店内の棚にストックされるLPレコードは3,000枚程度


—— レコードとCDの一番の違いはなんでしょう?


何よりジャケットが大きく、CDとは比べ物にならない魅力があると思います。ジャケットもアート作品だと思いますから。それに、そもそも録音システムがまったく違います。デジタルで録ったものはデジタル(CD)で聴くのが本来の音が出るし、アナログ録音のものはアナログ(レコード)があっている。だから、旧い音楽でアナログ録音の時代のものをCDにしたら当然レコードの音にはかなわないです。’80年代後半からデジタルが主流になりますから、それ以前の音楽はレコードじゃないと本来の音が出ないんです。リマスター版として音を加工してCDで出るものもありますけど、やっぱりどっちが本物かって言ったら、旧い音楽に関しては圧倒的にレコード。音圧と音の混ざり具合が別物なんです。


私はレコードの音が本当に良いのは、’50年代〜’80年代前半だと思います。私の好みは’50年代〜’70年代初頭なんですが、トラック数が少ないから、音に空間があって生音に近い音が聴こえます。いまの音楽はデジタル用に音を詰め過ぎてしまって空間を感じられない。


CDの音は窓枠から見える外で、レコードの音は窓から顔を出して見える外っていうたとえ話もあるのですが、立体感がまるで違います。奥行きがある感じというか。これは聴いてもらうしかわかる方法はないですね。聴いて、それが良いと思わなければ無理してレコードで聴く必要もないと思うので。僕らは子供の頃からレコードを聴いているのでそれに馴染んでいる部分もあると思いますしね。



カウンターの席の上には伊藤さんが敬愛するビートルズ『A HARD DAY’S NIGHT』の世界各国のレコードが並ぶ
 出典  Funmee!!編集部
カウンターの席の上には伊藤さんが敬愛するビートルズ『A HARD DAY’S NIGHT』の世界各国のレコードが並ぶ


―― 33rpmは旧い音楽専門ですか?


‘60年代から’80年代のアメリカかイギリスのロックがメインです。私自身がだんだん最新の音楽を追っかけ続けるのに疲れちゃったのもありますが、基本的にはレコードの音が良い時代の、オリジナル盤のレコードにこだわっています。’90年代以降もあるにはありますけど、やっぱりアナログ録音のレコードの音と比べたら感動は薄くなってしまいます。


ジャンルは一応オールジャンルですが8割はロックとソウル、サントラです。’60年代のロックやR&Bが個人的に大好きなので、そのあたりを特に充実させています。イベントでは裏技的なレコードも用意してますが、それは聴きに来てからのお楽しみにしてください。一応リクエストもあるのですが、お客さんの雰囲気を見て流したり、会話の中で選曲をして喜んでもらえるのが楽しいですね。



店内には伊藤さんが高校生の頃好きだった、ポール・ウェラーが愛したというリッケンバッカーのギターが展示される
 出典  Funmee!!編集部
店内には伊藤さんが高校生の頃好きだった、ポール・ウェラーが愛したというリッケンバッカーのギターが展示される


―― 33rpmではどの年齢層の人が多いのでしょうか。


やはり昔からレコードを聴いていた50代以上の人が多いですかね。若いお客さんも中にはいますが、普段から音楽を聴きこんでいる方じゃないと音の違いがわからないのかもしれません。でも、若い子でもココに来て、レコードの音に興味を持ってハマっていった方もいますよ。そういうきっかけになれたら嬉しいですね。

 



時代の変化とともに音楽との出会い方も変わる


―― 伊藤さんはどうやって旧い音楽を掘り下げていったのでしょうか?


当時は家にいてパソコンでいろんな音楽を探せるわけじゃないから、ラジオを聴きこむかレコード屋で教えてもらうんですが、レコード屋はいまみたいに店頭でお客さんが勝手に視聴できる店なんかないですから、レコード屋の店主にお願いして視聴させてもらって、店主のアドバイスを受けながら広げていきましたね。音楽との出会い方もいまとは全然違うと思いますよ。いまではお店でモノを買うことが減ってしまった時代だから、そういうお店の人との間合いは若い方は難しいかもしれません。だから、一生懸命音楽を聴こうとしてる若いお客さんには、レコード屋での買い方を教えてあげることもあります。

 


店名になっている33 1/3rpmはレコードプレイヤーの回転数を表す、わかる人にはわかるネーミング
 出典  Funmee!!編集部
店名になっている33 1/3rpmはレコードプレイヤーの回転数を表す、わかる人にはわかるネーミング


―― ただ、レコードってやはり不便ではありますよね……。


私はまったくそう思ったことはないですね。レコードが不便だと思ったことがないですし、傷が入ったらまったく聴けなくなってしまうCDの方が不便で仕方がない。確かにレコードはCDよりも手間がかかりますが、それが良いっていう人もいるんです。私にとっては、その面倒な作業もレコードを聴くために当たり前で、手間がどうとか、便利・不便じゃなくて、レコードの音が好きかどうかだと思います。



店内にはビートルズやフーを中心に、伊藤さんのお気に入りのレコードが展示される
 出典  Funmee!!編集部
店内にはビートルズやフーを中心に、伊藤さんのお気に入りのレコードが展示される

ビートルズのオリジナルプレスが人生を変えた


―― では最後に、店を出す前は会社員だったそうですが、なぜレコードバーをオープンさせたのでしょうか?

 

サラリーマンの頃からロックが流れるバーをやりたいなっていう思いはずっとあったんです。中学生の頃からレコードは集めていたんですが、大人になってからビートルズの’60年代のオリジナルプレスを手に入れて聴いた時に音の違いに衝撃を受けて、そこからビートルズのシングル/アルバムを全てオリジナル盤で集めたんです。それで、友達を家に呼んで聴かせたらすごく感動していて、これは店でやっていろんな人に聴いてもらいたいなと思ったんです。だから、広くいろんな音楽をかけるお店ってだけじゃなくて、「この音を聴いて欲しい」っていうところにはこだわっています。それが伝わらなければそれでいいし、わかってくれたらうちに来てくれればいろんなレコードがあるから、ここでいろんな音楽に触れてくれればいいなって。半分私の趣味みたいな感覚ですね(笑)。



昨今、アナログレコードの人気が再燃しているというニュースを多くのメディアが伝えている。一過性のブームで終わらせないために、アナログレコードにまつわる多くのトピックを紹介した一冊。

■プロフィール

33 1/3rpm代表 伊藤滋さん

 

ビートルズのオリジナルプレス盤の音の良さに感銘を受け、4年前に脱サラしてレコードバー33 1/3rpmをオープン。中学2年生の頃からレコード収集を続けている。



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文:金原悠太(Yuta Kinpara)

写真:鳥居健次郎(Kenjiro Torii)



2018年3月30日
Funmee!!編集部
Funmee!!編集部

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