音楽
いまこそ聴きたい!シティ・ポップ名作10選(後編)

いまこそ聴きたい!シティ・ポップ名作10選(後編)


シティ・ポップとひと口に言っても、その音楽性は広範囲に及びます。また、時代によってそのスタイルも変化します。

 

後編では、2015年以降にリリースされた作品をレコードしばりで5枚紹介。選者は前編から引き続き、HMV record shop コピス吉祥寺の松本真伍さんです。それでは、どうぞ!

 

※レコード盤が発売されたリリース年を記載しています。



一十三十一『The Memory Hotel』(2017)

ジャケットデザインは弓削匠が担当
 (C) Billboard Records / Jet Set / 出典 Funmee!!編集部
ジャケットデザインは弓削匠が担当


現代のシティ・ポップを歌うアーティストとして高く評価されている、一十三十一さんの8thアルバムです。

 

この作品は、'80年代半ば以降のシティ・ポップをクラブ・カルチャー以降の感性で表現している印象です。収録曲も、4つ打ちあり、バラードありと、バラエティに富んでいます。ブギーの要素も感じられますね。

 

ボーカルはあくまで楽器のひとつとして鳴っているようなイメージなので、BGMとしてもさらっと聴けると思います。全編を通して、ソウル色の強いメロウなシティ・ポップが楽しめます。

 

個人的には、ダンサンブルな「その目は、Hypnotic」とLUVRAWとデュエットしている「サレンダラー」がとくに好みですね。



 (C) Billboard Records / Jet Set

ikkubaru『Brighter』(2017)

永井博のイラストがピッタリの作品
 (C) Hope Your Smile Records / 出典 Funmee!!編集部
永井博のイラストがピッタリの作品


2011年に結成されたインドネシアのバンドです。山下達郎さんや角松敏生さんをはじめとする’80年代の日本のシティ・ポップに強く影響を受けつつ、独自の解釈でオリジナリティのある楽曲を制作しています。

 

この作品は2枚目のEPで、昨年アナログ盤がリリースされました。全体的にシンセサイザーがきらびやかに使われていて、ポップでメロウな曲を引き立てています。永井博さんが描いたジャケットも含め、アーバンという言葉がピッタリです。

 

すでに数回の来日を果たしていて、日本での人気も高まっています。日本人アーティストとの交流も盛んで、tofubeatsの曲をリミックスしたりしているので、ikkubaruが気に入った方はぜひそちらもチェックしてほしいです。



 (C) Hope Your Smile Records

田中裕梨『City Lights』(2017)

CDとLPではジャケットが異なる
 (C) SMR Records / 出典 Funmee!!編集部
CDとLPではジャケットが異なる


ニュージャズバンドBlu-Swingのヴォーカリストとしても知られる田中裕梨さんのカバー・アルバムです。

 

収録曲は、’70年代後半から’80年代前半のシティ・ポップばかり。小林麻美さんの「雨音はショパンの調べ」や尾崎亜美さんの「マイ・ピュア・レディ」、前編で紹介した大貫妙子さんの「都会」などを、透明感のある声で歌っています。

 

この作品の魅力は、田中さんが過去の名曲を現代のシティ・ポップとして昇華している点です。大胆にアレンジされている曲もあるので、原曲と聴き比べてみると、このアルバムが一層楽しめると思います。

 

「シティ・ポップにはどんな曲があるの?」と聞かれたときに、真っ先にオススメしたいアルバムです。



Lucky Old Sun『Belle Epoque』(2017)

ライブではゲストプレイヤーを招くことも
 (C) HMV record shop / 出典 Funmee!!編集部
ライブではゲストプレイヤーを招くことも


男女2人組のユニットによる、2ndアルバムです。’70年代のシティ・ポップやニューミュージックを消化し、いまの時代にフィットする新たなサウンドとして響かせています。

 

個人的には、東京郊外で暮らす日々の感傷を歌っているように解釈しています。都心部へ足を伸ばせば何でもそろっているけれど、心は満たされないというか。ちょっとした虚無感がありつつ、温かさと前向きさも伝わってきます。

 

ボーカルのナナさんは、大貫妙子さんにも通じる抑制の効いた歌い方が印象です。僕自身、ソウルフルに歌い上げるタイプのボーカルよりも、ナナさんのような歌唱法に都会性を感じます。

 

2010年代に生まれた、良質なシティ・ポップ・アルバムです。



 (C) HMV record shop

YOOKs『Hanashi / Leaving Summer』(2017)

レコードでリリースしているのはこの作品のみ
 (C) HMV record shop / 出典 Funmee!!編集部
レコードでリリースしているのはこの作品のみ


20代前半のメンバーで構成された、京都を拠点に活動するバンドです。

 

サウンドに関しては、山下達郎さんやティン・パン・アレイの影響が色濃く感じられます。が、単純なリバイバルではなく、さまざまな音楽を吸収した上で、独自性の強い楽曲を聴かせてくれます。

 

彼らは「ニュータウンポップ」という言葉を掲げています。ニュータウンとはつまり「郊外」のことで、都市を表すシティとは対照的です。音にもどこか生活感が滲んでいるように思います。

 

歌詞はSNS世代ならではの感性というか、少し暗めだけれど「仲間内でいれば楽しいよね」というような思いが伝わってきます。Lucky Old Sunにも通ずる諦念が全編を覆っている気がしますね。



 (C) HMV record shop
お気に入りのレコードを持つ松本さん
 出典  Funmee!!編集部
お気に入りのレコードを持つ松本さん


年代の異なるアーティストを一括りにシティ・ポップと呼ぶのは、正直、ためらいがあります。ただ、セレクトした作品にはどこか通底するものがあると思うので、そのへんを意識して聴いてもらえると嬉しいです。



音楽


■プロフィール

松本真伍さん

 

2013年よりHMVに勤務。2017年、HMV record shop コピス吉祥寺の立ち上げに参加し、現在は副店長を務める。専門は、ジャパニーズ・ポップス、シティ・ポップ、ニューミュージック。

 

 

■撮影協力

UNISON TAILOR

東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-5 コピス吉祥寺A館2F

TEL:0422-27-2726

営業時間:10:00~21:00

 

 

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文:吉田勉(Tsutomu Yoshida)

写真:山本祐之(Yuji Yamamoto)



2018年4月20日
Funmee!!編集部
Funmee!!編集部

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