【僕のサン=サーンス】#11 2度目のお稽古『白鳥』最初の4小節(後編)


いつの日かの憧れに本気になって早2カ月。で?

 

名曲『白鳥』を弾きたい一心で猪突猛進気味な連載企画『僕のサン=サーンス』第11話は、2度目のお稽古の後編。学ぶほどに混迷は極まり……。



稽古は続くよ、どこまでも

2回目のお稽古(後編)に至り、弓を使い始めた生徒さん

 出典  Funmee!!編集部


「ギターの経験があったほうがチェロには有利なんじゃないの?」

 

このページを見てくれる友人から、よくそんな質問をされる。ふむ。確かに、もし僕がギターを弾いていなかったら他の弦楽器に挑もうとは思わなかったかもしれない。より正直に言えば、ギターに触ってるんだから何とかなるだろうと高をくくっていたところがあった。

 

おや? そう言えば似たようなことがあったな。

 

40代になってから、ランニング専門誌の仕事でホノルルマラソン取材を経験した。最終的に8年続いたこの企画のオファーが来た際、「ほぼ週一でアイスホッケーをやっているんだから何とかなるだろう」と気軽に受けた。その結果、左ヒザに水が溜まる癖がついた。

 

で、冒頭の質問に対する回答。新しい垣根を超えるには精神面で若干有利。ただし、高をくくったりナメたりすると、「あれ?」だの「おや?」だのと、お門違いな経験値が邪魔をしてむしろ遠回りになるのではないかと、今は思う。それほどチェロは独創的。つまるところ、別物なのである。最初に気づけよって話だが。



「指全体のフォームで押さえよ覚えよ」は前回も紹介した教え。指全体にはネックの裏を押さえる親指も含まれるのです

 出典  Funmee!!編集部

「そのネック裏の親指も、音階の変化に合わせてずらす!」と先生

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「冒頭4小節の最高音部を押さえる小指も、ネックの根元にかかる親指との距離感およびフォームで覚えて」と先生。「やっぱり距離?」と生徒さん

 出典  Funmee!!編集部



可能性も広がるよ、どこまでも


「生徒さんから教えてもらったんだけど、俳優の高橋克典さんもチェロを始めたらしいですよ」。これはアキコ先生情報。

 

詳細はこうだ。Eテレで放送中の『ららら♪クラシック』という番組で、この春から司会者になった高橋克典さんが5月5日の放送回で「実はチェロに興味が」と発言。有名な奏者をゲストに招いて初歩を学ぶ様子が伝えられた。その再放送が先日あった。

 

僕といい勝負だった。あるいは、少しだけ勝っているようにも見えた。ただ、初回放送から5カ月が過ぎているので現状は不明。そして、ツッコミを入れられる前に断っておくけれど、ルックスでの勝負はハナから度外視している。仮にお互いオッチョコチョイだったとしても、それでもねぇ。

 

この話題で大事なことは二つ。コアでレアなプログロムが多いEテレとは言え番組でフィーチャーするくらいだから、もしやチェロは来ているのかもしれないということ。それから、生徒さんからの情報提供にアキコ先生も戸惑うほど各方面でこのページが読まれていること。ムフフだ。様々な可能性の広がりに期待して、またしても性懲りもなく高をくくりそうになる。



「何かおかしいんだよなあ」と先生。チェロを抱える正しい位置を再調整。無言で従う生徒さん

 出典  Funmee!!編集部

「肩に力を入れなくても最後まで引き切れるでしょう?」と先生。「そうなんだ」と無言で納得する生徒さん

 出典  Funmee!!編集部



痛みは悟りに変わるよ、これからも


今回の本文でお稽古の中身に触れなかったのには理由がある。前回に引き続き『白鳥』の冒頭4小節を必死で習っているが、初心者ながらも教わる内容がピンポイント化し、それを克明に記してもおもしろがっていただけないと思ったからだ。たぶん『ららら♪クラシック』のディレクターだって同じことを考えるだろう。

 

それでもあえて2回目のお稽古について語るとすれば、冒頭のたった4小節、時間にしてわずか20秒の弾き方を知っただけで、改めてチェロの果てしなき奥深さを痛感した。いや実際に、無駄に力が入る肩や腕や指や股関節が痛くなった。それと同時に、YouTube師匠(詳細は前回参照)を真似てお気楽に弓を引くことができなくなった。というか、そんな適当なことをしている場合じゃないと悟った。自分でも意外だが、「何はともあれこの4小節を!」という律儀で真面目な面が顔を出したのだ。

 

などという個人的な発見や愉悦を語られても、やっぱりおもしろくはないでしょう。なので次回は、噛み殺せそうにないほどの恥を忍びながら、チェロを始めて2カ月の『白鳥』を動画で披露します。泣く準備を、いや笑う準備をぜひ!



今回は冒頭4小節まで。『白鳥』が羽ばたくのはいつのことやら。次回は衝撃の演奏動画を!

 出典  Funmee!!編集部


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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:篠田麦也(Bakuya Shinoda)



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Funmee!!編集部

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