
転ばぬ先の杖! 知っておいて損はない パンク修理の方法
自転車乗りの宿命、それはパンク。それまで軽快に走っていたのに、一度パンクしてしまったら、どうにも進むことができないのが自転車の悲しいさだめ。
さらに自転車あるあるで、「パンクは一度すると続けて起こる」なんていうオカルトな話もあったりして……。でも、そんな時にも焦らず自分で対処できるようになりましょう。
パンク修理のノウハウを東京中野にあるバイクショップ・ピアチェーレヤマの店主山本実光さんに伺います。
ロードバイクのパンクの原因と、パンク回避策を知ろう
自転車に乗っていればパンクは当然のこと、と思ってください。でもなるべくパンクしないように対策を練ることも大切です。
パンクは鋭い形状の異物がタイヤに付着して中のチューブを貫通してしまってなる場合と、道路の段差などでホイールのリムをぶつけてしまい、その衝撃からチューブがよじれてパンクしてしまう場合が多いです。
パンクの原因その① 異物がタイヤに刺さる
パンクで一番多いのがタイヤにガラス片や釘などの鋭い形状の異物が付着して刺さってしまい、中のチューブに穴が開いてしまうケース。
ロードバイクで走るときの道路端には砂やゴミが堆積していることが多く、その中に混じっていたガラス片や金属片などをタイヤへ巻き込んでしまい、パンクするのです。

対策として、まずはタイヤの空気圧を適正にきちんといれておくことが重要です。
というのもロードバイクのタイヤの空気圧は6気圧から12気圧くらい(タイヤの種類によってそれぞれ違います)。自動車の空気圧が2.2気圧くらいなので、かなりの高圧なのが分かります。この高圧がきちんと入っていれば、大抵の異物は跳ね飛ばしてしまいます。
パンクの原因その② リム打ちによるパンク
リム打ちによるパンクは、ロードバイクで段差を越える時に起こりがちです。それも正面からではなく、車道から斜めに歩道に上がる時が要注意です。パンクだけでなく、横転してしまったりホイールを傷めてしまう危険もあります。
あまり大きな段差はロードバイクでは避けたほうがいいでしょう。
乗り慣れた上級者にはフロントタイヤを持ち上げて、ウィーリーのような状態で段差を乗り越える猛者もいます。

また、急な雨や雨上がりに路面が濡れていたりすると、タイヤも濡れて金属片などが張り付き、パンクしやすくなってしまいます。路肩を走るときは砂溜まりのような場所は避けて走行したほうがいいでしょう。
ロードバイクに乗った後は、タイヤをきちんと拭き掃除することで付着した異物を発見できることもあります。
こまめにタイヤをチェックすることで、パンク対策をしましょう。
これさえマスターすれば安心! ロードバイクのパンク修理方法

パンク修理方法① 基本は「チューブの交換」
パンク修理というとチューブの穴にパッチを貼る方法を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、ロードバイクのパンク修理で一番簡単なのはチューブごと交換する方法です。
慣れてしまえば5~10分で交換できてしまうので、覚えておいて損はないですよ。
① 残った空気をしっかり抜く

パンクしても全ての空気がチューブから抜けてしまうわけではありません。チューブを取り出す際に傷がつかないよう、バルブを緩めて残った空気をしっかり抜きましょう。
② バルブの根元にあるネジを外す

バルブの根元にあるネジをくるくる回しながら外します。これがあるとチューブが抜けないので注意。ついてない場合もあります。
③ タイヤを外す

バルブのすぐ横から、ホイールとタイヤの間にタイヤレバーを挟み込んで浮かせ、タイヤをリムの外側に外していきます。

半分くらい外れたら、タイヤレバーを回すように滑らせると、一気に外れていきます。

古いタイヤの場合リムに張り付いていることもあるので、両手でしっかり揉むようにすると外れやすくなります。
④ チューブを取り出す

タイヤがリムから外れたら、その中にあるチューブを引っ張り出します。長い間チューブを変えてなかったりすると、チューブとタイヤがぴったりとくっついていて、なかなか剥がれないこともあります。

最後にバルブをリムから引き抜いて、完全にチューブを外に取り出します。
⑤ パンクしたタイヤを確認

チューブを外したらしっかりとタイヤを見ながら、指をタイヤの裏側に這わせてパンクの原因を探ります。タイヤにガラス片などが刺さったままだと、せっかくチューブを交換してもまたパンクしてしまうからです。

パンクの原因となった異物を見つけ、取り除きます。
⑥ 新しいチューブを入れる

新しいチューブは全く空気が入っていないので、軽く空気を入れて膨らましておく。空気を入れるとチューブがよじれたりせず、はめやすくなります。

まずは、バルブ穴にバルブをセットします。

チューブ全体をタイヤの内側に収めていきます。
⑦ バルブにネジをはめる

チューブがタイヤに収まったら、バルブにネジをしっかりはめます。
⑧ タイヤをリムにはめる

揉み込むようにして、バルブの反対側から均等になるように少しずつタイヤをリムにはめていきます。

腹部にタイヤを抱えこむようにして作業すると力が入りやすいです。

上記写真のチューブは、均等に入らずよじれてセットされていたためにこのような状態になってしまったもの。
こうなると段差を乗り越えるなどのちょっとした衝撃で、パンクしたり裂けてしまうこともあるので、注意!

最後にバルブ近くのタイヤをリムにはめ込む。いちばん力が必要なところです。どうしても自力で入れられない場合は、タイヤレバーを使っててこの原理ではめ込みます。
ただしこの際にタイヤレバーがチューブを傷つけやすいので、十分注意してください。

タイヤがリムにハマったら、写真のように両手でタイヤを挟んでチューブがしっかりとタイヤの中に入っているかを確認しましょう。
⑧ 空気を入れて完成!

最後にしっかりと空気を入れれば完成です!
注意するポイントが多いので細かく書きましたが、基本は穴の空いたチューブを取り出して、新しいチューブを入れる、という作業です。ちょっとしたコツがつかめれば、それほど難しい作業ではありません。
ただ、案外、ホイールとタイヤの相性で外しやすい・外しづらいなどがあったりします。また新しいタイヤほど張りがあるので外しずらい、なんてこともあります。
自分のロードバイクのタイヤがどんな状況か、一度確認しておけば安心です。
パンク修理方法① 「パッチ」を使ってチューブのパンクを修理
チューブを忘れてしまったり、2回目のパンクで予備のチューブがもう無いということもあります。
そうした場合は、チューブにできた穴を専用のパッチを使ってふさぐことでパンク修理をすることになります。
① チューブを外す
まずチューブ交換と同じ手順で、ホイールからチューブを外します。
外したらチューブにできた穴を探します。

よく街の自転車屋さんでバケツにはった水の中にチューブを沈めて、どこから空気が漏れているのか確認していますよね。ただこの方法だとサイクリングの途中では、なかなか対応できる方法ではありません。
山本さんのおすすめは”眼”。眼はいちばん圧を感じやすい部分なので、チューブに出来た小さな穴でも見つけることができるそうです!
② 穴の周辺を紙やすりで磨く

パンクの原因となった穴が見つかったら、穴の周辺を紙やすりで磨きます。これはチューブの汚れや凹凸をきれいにすることで、パッチをしっかりと貼り付けるためです。
③ パンク穴をパッチシールでふさぐ

昔のパッチは糊を必要として手間がかかりましたが、現在のパッチはシールタイプが主流。台紙から外してパンク穴部分に貼り付けるだけです。この時シール面に触らないようにしましょう。汚れや手油などが付着すると、剥がれやすくなってしまいます。
④ チューブを戻して完成!

最後に指の腹でパッチを軽く押さえてなじませるだけ。糊のように固まる時間を待つ必要もありません。
あとはチューブをタイヤに戻せば、パンク修理完成です!
パンク修理の方法、いかがでしたか? 文字で追うだけだと大変そうですが、基本を押さえさえすればそれほど難しくないのでご安心を。
ロードバイクを楽しむ以上、パンクの可能性は必ずあります。事前に練習して安心できれば、心置きなく遠くまでロードバイクを走らせることができます。より楽しむためにも、パンク修理をぜひマスターしてくださいね。
自転車ショップによっては定期的にパンク修理講習会を開催しているところもあります。自分ひとり出来るか不安な人は、まず講習会に参加して実地で教えてもらうといいでしょう。
スキルアップすれば、ロードバイクに乗るのもより楽しく感じられるはずです!

■プロフィール
山本実光さん(ヤマさん)
鹿児島の自転車屋に生まれ、自転車卸の大手・東京サンエスに務め、その後ピアチェーレ・ヤマをオープン。人生=自転車歴というまさに自転車のプロフェッショナル。その穏やかな人柄と、幅広い経験と知識で多くの悩めるサイクリストを支えてくれる、救世主的存在。

ロードバイクに取り付け可能なサドルバッグに入った、オールインワンの修理キット。
ミニポンプ、16in1ツール、パンク修理専用パーツ等がセットになっていて、パンク修理には十分です。
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