焚き火くさい、スペシャルなおじさんになりたい。「たき火ヴィレッジ<いの>」管理人・猪野正哉さん


華やかなファッション業界の最前線からアウトドア業界で働くことを選んだ猪野正哉さん。現在は千葉県千葉市にアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ<いの>」を運営し、自然の中で遊ぶことの魅力を発信しています。

猪野さんが考える焚き火の魅力や、今後の展望について伺ってきました。



自然豊かな町で育ったコンプレックスが、プライドに変わった日

 出典  Funmee!!編集部


—— 猪野さんはアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ<いの>」の管理人という肩書きもお持ちですが、ここを始めた理由を聞かせてください。


僕の地元は調整区域で、新しい建物を建てることができない森がたくさん残されています。実家が造園業をしている森があるのですが、そこの一角に少しずつ自分で手を加えてキャンプや焚き火が楽しめるスペースを整えたものが、「たき火ヴィレッジ<いの>」です。今はまだ一般開放はしていないのですが、イベントなどを通じてアウトドアの魅力を広められる場所にしたいと考えています。

 


—— 実家が造園業をしていたのならば、子供の頃から身近に自然に触れる機会がたくさんあったのですね。

 

特別何かを教わったわけではないのですが、今思うと周りには火を熾したり、植物を育てたり、自然と関わるスキルが高い“焚き火くさいおじさん”がたくさんいましたよ。東京で働く前は、ここで生まれ育ったことがコンプレックスだったけど、今ではここで植木をしていた祖父に感謝しています。あの木や土地がなければ、今の自分はいないですから。



焚き火は心を解き放つためのアイテム

 出典  Funmee!!編集部


—— 焚き火の魅力って、どんなところにあると感じますか。

 

焚き火って見つめているだけで素の自分になれて、心を解き放ってくれるアイテムなのかもしれません。仲間と火を囲んでお酒を飲みながら話をしていると、隠し事ができない感じ。

 


—— モデルをしていた当時の仲間も、焚き火をしに来たりします?

 

来ますよ。僕の人生がしんどかった時期には、さーっと引いていった人たちも多かったけれど、その頃も付き合ってくれた仲間たちは今もよくうちに来て一緒に火を囲みます。東京にいた頃の僕のイメージしかない人たちからは、「猪野君ってあんなに爽やかだったっけ?」なんて言われているみたいです(笑)。

 


—— それは何よりの褒め言葉ですね。アウトドアを始めて、猪野さんが変わったことを何よりわかるのは、当時を知る人たちかもしれませんね。

 

変わったというより、元に戻った感じでしょうか。昔は東京に憧れ、ずいぶんと背伸びをしていたけど、今は等身大の自分でいられるんです。



日常の延長としてアウトドアを遊ぶ

 出典  Funmee!!編集部


—— 今後、ご自身の活動を通して、伝えていきたいことってありますか。

 

外で遊ぶことで、季節や植物を身近に感じ、自然のサイクルを知れます。焚き火をすることで、火の怖さ、そして優しさもわかります。そういったことが、多くの人に伝えられるといいですね。

 


—— 焚き火やキャンプを経験したことがない人にとっては、なかなか始めるきっかけがないかもしれません。

 

確かに、焚き火をしよう、山登りに行こうと言うと、少しハードルが上がってしまうかもしれませんね。普段の生活や遊びの延長として、アウトドアを捉えてみてはどうでしょう。僕の父親の周りにいる人たちは、生活や遊びに必要な技術としてアウトドアスキルが身についている人が多い。当たり前のことが当たり前にできる。その世代はあえて勉強しなくても、必要だから身についているんですよ。僕も肩肘張らずに、遊びながら知識やスキルを上げていきたいし、広めていきたい。

 


—— 特別なこととしてではなく自然体でとの考え方は、猪野さんの仕事へのスタンスと共通していますね。

 

僕にとってアウトドアは、お金がもらえる趣味のようなものです。なにごとも楽しめるように心掛けているので、仕事と趣味の境は気にしたことがないですね。

 


—— 今後は、焚き火のスペシャリストを目指していくのでしょうか。

 

一つのことに特化したスペシャリストより、いろいろなことができるスペシャルな人になりたい。「百姓」って、100のことができるって意味らしいですけど、僕も百姓のように日々の生活や遊びに必要ないろいろな技術を知っている、かっこいいおじさんになりたい。まあ、アウトドアの魅力を自然体で伝えられるようになる頃には、きっと僕も焚き火くさいおじさんになってるんでしょうね。



 出典  Funmee!!編集部


■プロフィール

猪野正哉さん

千葉県千葉市出身。浪人生時代に応募したオーディションに受かり、「メンズノンノ」専属モデルを2年間務めたのち独立。ファッション誌を中心に、モデルやライターとして活躍するも、30を越えて活躍のフィールドを徐々にアウトドア業界へと移す。現在は、実家のある千葉市でアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ<いの>」をスタート。焚き火を中心に、幅広いアウトドアアクティビティを通じて、自然や火の魅力と共存する怖さとの両面を伝える活動に勤しんでいる。エネルギー源は、お酒とカレー。趣味はサッカー。



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:池田 圭(Kei Ikeda)

写真:宇佐美博之(Hiroyuki Usami)



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Funmee!!編集部

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