空間デザイナー・加藤匡毅さんの 「いいな!」をカタチにする仕事術


建築からインテリア、音楽に至るまで、そこで過ごす人が居心地の良い空間づくりを得意とする「Puddle」。

代表・加藤匡毅さんは、空間に対する強い関心から、インスピレーションや想像力を大切にしたクリエーションに取り組んでいます。

その仕事術について話を聞きました。

見るものも聞こえるものも、すべてが空間!


ーー ご自身の事務所を立ち上げてから、ますますご活躍されていますね。最近ではどのような建築を手掛けたのでしょうか?


京都発のコーヒーブランド「% Arabica 」の京都、クェート、ドバイの店舗やサンフランシスコから上陸した「DANDELION CHOCOLATE」の国内の案件の内装デザインを担当させていただきました。



ーー どちらもオシャレで素敵な空間! どんなイメージで仕事にあたるのですか?


僕らのオフィスは、最終的には空間をつくることが主な仕事なので、建物だけではなく、インテリアや音楽など、見るもの、聞こえるもの、触るもの、すべてにおいてアイデアを出し、それが有機的に具現化するようにしています。



加藤さんの自宅も、ゆっくりとくつろげる空間
撮影:Takumi Ota

 出典  Funmee!!編集部

大切にしているのは、その土地にしっかりと根付くような空間づくりをすること。建物が単体で存在するのではなく、その場所の空気や雰囲気と馴染みながらも、新しい風を吹き込む。もともとある建築を改装することも多いので、その魅力も意識しています。

奥様との出会いで、強力タッグを形成!

 出典  Funmee!!編集部


ーー 奥様も一緒の事務所で働かれてますよね?


はい。もともと三菱地所に勤めていた彼女(加藤奈香さん)とは、都市計画のプロジェクトで知りあったんです。今はPuddleのブランディングなどを担当しています。


奈香さん:東京駅周辺の1000年後のビジョンをビジュアル化したく、加藤にお願いしたのが最初の出会いでした。結局断られたんですけど(笑)、今はこうして結婚をして、一緒に仕事もしています。

 


ーー 加藤さんの作品は、最初のラフスケッチと完成形がかなり近いと伺いました。


奈香さん:最初の打ち合わせで描いた彼のドローイングが、出来上がった形と近いことはよくあります。


匡毅さん:最初のインスピレーションをとても大切にしています。もちろん何度も足は運ぶのですが、通ううちにその風景が当たり前になってしまう。当初のワクワクした気持ちを施主とも共有したい。


奈香さん:その気持ちからか、プレゼン資料にも初めてその場所を訪れた人の感情を表すような漫画を加えちゃうんです。

 

ーー 資料に漫画を添えるんですか!?



 出典  Funmee!!編集部


匡毅さん:厳密には漫画ではないのですが……空間は体験する人があってこそ成立するものだと思うので、例えば入口から入ってきて、ここで「あっ!」と思って、この場所に主役となるアイテムがあって「ああ~!」と納得する。そんなことを考えながら設計しているので、その設定意図をわかりやすく伝えられるのは、やっぱり漫画の中のキャラクターじゃないのかと。


奈香さん:今はCGが主要ですが、CGだとできない部分までつくれてしまうので、トゥーマッチな印象もあります。リアルな情報だけ伝えたい。


匡毅さん:そうそう。だから、僕らは今も模型とドローイングでプレゼンしているんですよね。



完成までわからない―― 想像する楽しさがここにある。


ーー プレゼンの時点では、施主に完成図を見せないと聞きました。


匡毅さん:見せないわけではないですが、CGのように具体化はあまりしたくないです。完成する前から細部を想像できるって、クリエーションとしてはあまり面白くないと思っています。


奈香さん:ほとんどの家が木造だった時代、日本人は家の手入れも自分たちでできていたはずです。昔のお父さんは何でも作れたし、治してくれた。そんな日本人が得意だったものづくりが、今は特別な存在になっている。自分の家なので、もう少し関心を持ってほしいという気持ちもあります。だから、想像して興味を持ってもらう。


匡毅さん:高校生の時、家の壁を壊した時の衝撃と似ています。



 出典  Funmee!!編集部


―― えっ、どういうことですか?


匡毅さん:和室だったんですけど、この背後はどうなっているんだろうって思って。壊したらコンクリートが出てきてびっくりしました(笑)。「3人兄弟で同じ環境で育っているのに、どうしてお前だけ家を壊すし、いろいろなものを作るのかねえ」と後で母親に笑われましたけど。

 


自分たちの「いいな!」をカタチにしていく


ーー 最近は海外へ行くことも多いそうですね。


匡毅さん:アラビカ・コーヒーを海外でも出店したいとオファーを受け、中東やヨーロッパでの仕事も始まりました。ドバイは最近オープンしたばかりです。海外でもいろんな仕事がしたいね、と話してはいたのですが、思ってた以上のスピードでオファーがありました。今は月に1週間は海外へ行きますね。

 


ーー 事務所も最近移転されたばかり。しかも2階にご自宅を構えたようですね。自宅を作る時はどんなイメージを?

 


匡毅さん:自分の家は結構適当でした(笑)。仕事ではミリ単位の指示を入れるんですけど、自宅でそれをやると気疲れしちゃう。それは僕の悪いところなのかもしれないんですけど、人には一生懸命だけど、自分の時はズルっと行っちゃう。例えるなら、マーク・ジェイコブスがショーの後にTシャツとデニムで登場する感覚ですかね(笑)。ただ、妻の方が家にいることが多いので、彼女にとって長くいられる場所にはしたかった。


奈香さん:前の家では、キッチンの高さだけを確認し、あとはおまかせでした。引越しして初めてその空間を見ました(笑)。だから、今回は「キッチンを銅板にしたい」と伝えました。衛生的で、経年変化を楽しめる。飲食店ではよく使われるその魅力を実感したいなと。

 


 出典  Funmee!!編集部


ーー 拠点ができて、今後の加藤さんの活動が楽しみです。


匡毅さん:僕らは渋谷のど真ん中に事務所と家を構え、そこからいろんな場所に出かけています。今はいろいろな働き方ができる時代なので、例えば海外にも拠点を置いたり、東京近郊に週末だけ使える家を持ちたいと思う。そんな身軽なスタイルから、自分たちの「いいな!」をもっと形にしていきたいですね。



既存の価値観に新しい視点をプラス。空間デザイナー・加藤匡毅さんのクリエーション


■プロフィール

加藤匡毅さん


既に存在する美しさや価値観に独自の視点を加えて新しいものを生み続ける空間デザイン会社「Puddle(パドル)」の代表であり、一級建築士、デザイナー。隈研吾建築都市設計事務所、IDEE’などを経て、2012年にPuddle設立。「LIXIL主催 キッチンで暮らす施工事例」金賞受賞など、受賞歴多数。

http://www.puddle.co.jp/works

 




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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:菅明美 (Akemi Kan)

写真:ふかみちえ(Chie Fukami)



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Funmee!!編集部

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