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#35 MGB(ポテンシャル編)
趣味人ジドウシャ部

#35 MGB(ポテンシャル編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。今回紹介するクルマは英国生まれのライトウェイトスポーツカーのMGBです。

 

後編はMGBの現在のストックマーケットと、趣味車としてのポテンシャルを確認します。クラシックなモデルだけにパーツの入手など課題はあるのか? また、カスタマイズの方向性も探りってみましょう。



趣味人にふさわしい理由はクルマ本来の資質にある

撮影車両はナルディのステアリングを装着。クラシックなモトリタも似合います
 出典  Funmee!!編集部
撮影車両はナルディのステアリングを装着。クラシックなモトリタも似合います


モータースポーツ発祥の地は諸説さまざまですが、MGBを作ったイギリス人がクルマ好きであることだけは間違いありません。ロンドンを中心にコンパスを広げれば、気軽なドライブ感覚でお出かけできる距離に、大小合わせて7つものサーキットが先の大戦前から存在します。

 

一方、東京はといえば、それなりのレースが開催できるサーキットが4つ。しかも皆、戦後に作られたものです。そう考えると国民がもつ文化的背景がまったく異なります。



MGのエンブレムはモーリス・ガレージの略といわれます。誇らしげなオクタゴン(八角形)のエンブレムも特徴です
 出典  Funmee!!編集部
MGのエンブレムはモーリス・ガレージの略といわれます。誇らしげなオクタゴン(八角形)のエンブレムも特徴です


貴族階級の子孫といえども、はじめから高級車のハンドルを握ることは稀です。多くの若者はオースチンやMG、クラシック・ミニやロータスなどで腕を磨きました。いわば確かな基本性能を備えたスポーツカーがオイリーボーイたちを育んできたといえるのです。

 

さて、この先はスペック編と一部話題は重複しますが、いまからMGBを探すにはどのような点に注意すればいいのでしょうか。クラシックカーの専門店でMGに強いと定評のある「エヴィータ」森代表に話を伺います。



レストア済み車両を上手に見極めてコンディションを優先しよう

ワークショップマニュアルなど資料も豊富なMGB。ついつい枕元に置いておきたくなります
 出典  Funmee!!編集部
ワークショップマニュアルなど資料も豊富なMGB。ついつい枕元に置いておきたくなります


「弊社でも販売車両のベース探しで苦労しています。バブル期などには多くの車両が現役でしたが、もともとの販売価格が低かったせいか、乗りっぱなしで放置され朽ちてしまう車両が多いのです」と森さん。

 

日本では住宅事情もあり、代々乗り継ぐ傾向は希薄なので仕方ない部分もありますが、かつて趣味車として人気だったMGBも、かなり現存台数を減らしているようです。



スポーティな8スポークデザインのホイールでカスタマイズ。このタイヤサイズなら懐にも優しいのです
 出典  Funmee!!編集部
スポーティな8スポークデザインのホイールでカスタマイズ。このタイヤサイズなら懐にも優しいのです


いまや絶滅種のごとく物件数も少ないMGB。限られた条件のなかで探すにはどうしたらいいのでしょうか。

 

「数的にはゴム製の5マイルバンパーを装着した1974年式以降が多いのですが、やはりスタイリング的に敬遠される傾向にあります。とはいえ、デザインコンシャスなクロームメッキのグリルをかつてのように装着するとなると、フレームまで改造が必要となり予算的にもキツくなります」

 

なるほど。クラシックな姿に振ろうとすると、パーツ交換レベルのカスタマイズでは済まないようです。ノスタルジックなスタイルにするには、レストアのタイミングが肝要です。



クラシックなテイストのワイヤースポークホイール。イベントなどお出かけに合わせ履き替える、なんて小技もMGBならありえます
 出典  Funmee!!編集部
クラシックなテイストのワイヤースポークホイール。イベントなどお出かけに合わせ履き替える、なんて小技もMGBならありえます


「ありきたりな回答かもしれませんが、一番確かなのは丁寧にレストアされた車両を探すことです。また、レストア前のストック車両をベースに自由にプランを決めるのも結果的に安上がりになります」



コスメティックなドレスアップからチューニングまで多彩なパーツが揃うMGB。ジドウシャ趣味人にまさにうってつけなモデルです
 出典  Funmee!!編集部
コスメティックなドレスアップからチューニングまで多彩なパーツが揃うMGB。ジドウシャ趣味人にまさにうってつけなモデルです


ちなみにエヴィータさんのレストア済み車両は、200万円代前半から300万円台半ばが相場の中心です。エアコンも新規にオリジナルを作製し冷却対策も万全。通常の街乗りも可能なのだそうです。



ボディカラーの選定からカーペットの張り替えまで、開業当時を思えばさまざまな対応スキルをもつようになったというエヴィータさん。ガレージ2階のパーツ置き場は、日々ストックが増加中!
 出典  Funmee!!編集部
ボディカラーの選定からカーペットの張り替えまで、開業当時を思えばさまざまな対応スキルをもつようになったというエヴィータさん。ガレージ2階のパーツ置き場は、日々ストックが増加中!

40代を中心に再びMGに回帰する趣味人が増加中!

こちらがMGBの後継モデルのMGCです。デザインに大幅な変更はありませんが、全長の長い直列6気筒エンジンを収めるためボンネットが盛り上がっています
 出典  Funmee!!編集部
こちらがMGBの後継モデルのMGCです。デザインに大幅な変更はありませんが、全長の長い直列6気筒エンジンを収めるためボンネットが盛り上がっています


最後に遠い昔を思い出して試乗してみました。

 

わずか100psにも満たないパワーですが、軽いボディと相まってダイレクトにボディを押し出してくれるこの感覚は、白眉のひと言です。過不足なく回るエンジン。心の躍動曲線と呼応するスピード感。そして、クルマの挙動がわかりやすいドライビングフィール。オヤジの“終の一台”として欲しくなります(笑)。




エンジンラインナップは画像の直列6気筒の他にV8エンジン搭載車も存在しました
 出典  Funmee!!編集部
エンジンラインナップは画像の直列6気筒の他にV8エンジン搭載車も存在しました


「MGBを探して訪ねて来られるお客様はほぼ40歳代から上の方です。それも若い頃、乗っていたというお客様が実に多い。皆さんクルマ遊びがお上手でカスタマイズのご要望も多く、弊社も日々勉強が欠かせません」



マーケット応じてATも設定されたMGC
 出典  Funmee!!編集部
マーケット応じてATも設定されたMGC


世界中に多くのファンをもつMGBは、現在もパーツ供給に困ることがないと森さんは語ります。オリジナルにこだわるか、現代車両のように日常使いを目指すのか。すでにヴィンテージの域に達したMGBですが、いまもなお自由自在に楽しむことが可能なようです。



MGBのオーナーズワークショップマニュアル<特別版>です。英語の本ですが、技術的な内容やカラー写真など充実した内容が満載です!


■取材協力

Evita(エヴィータ)

 

クラシックカーのある豊かなライフスタイルをサポートするコンシェルジュ的存在。ジャガーやMG、ロータスといった英国車のほかに、オールドメルセデスも得意分野です。基本的に自社でフルレストアを行った販売車両を揃え、メンテナンスからパーツの販売まで幅広く対応してくれる頼れるショップです。

 

神奈川県横浜市旭区市沢町 564-4

TEL:045-351-8920

営業時間:11:00〜19:00

休み:月曜

 


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文:教重誠一(Seiichi Norishige)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



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2018年7月4日
Funmee!!編集部
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