【趣味人ジドウシャ部】#04 フィアット500(チンクェチェント)(スペック編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。4台目は「フィアット500(チンクェチェント)」です。

 

今はフィアットから同名の新しい「フィアット500」が販売されていますが、これはそのデザインのルーツとなったオリジナル。

 

宮崎駿監督の映画『ルパン三世 カリオストロの城』に登場し、“ルパンのクルマ”としてもおなじみのクルマです。



イタリアの国民車として作られた元祖スモールカー

ドアウインドウ前部の三角窓が、作られた時代の古さを感じさせます

 出典  Funmee!!編集部


1930年代のヨーロッパでは、来たるべきモータリゼーションの時代に向けて、各国が大衆向けのクルマの開発に取り組みました。その結果、ドイツではフォルクスワーゲン・ビートルが生まれ、イタリアでは“トポリーノ”の愛称で呼ばれた初代「フィアット500(チンクェチェント)」が生まれました。

 

1936年から製産されたトポリーノはベストセラーとなりましたが、第二次世界大戦後、ルノーやシトロエンなどフランス製の小型車が台頭してきたため、設計が見直されることになりました。そして誕生したのが、「フィアット600(セイチェント)」と、その兄弟車の2代目「フィアット500」です。この数字は、エンジン排気量を表しています。



リアエンジンなので、後ろのフードを開けるとエンジンが鎮座しています。エンジンは499.5ccの空冷直列OHV2気筒

 出典  Funmee!!編集部


1957年に登場したフィアット500の特徴は、徹底的に無駄を省いた、合理的な設計にあります。フィアット社の設計技術担当者だったダンテ・ジアコーザは、先行して開発していた600の基本構造を元に、よりコンパクトで、安価なクルマの設計に取り組みました。



普通のクルマではエンジンが載っているボンネット内には、ガソリンタンクやスペアタイヤがあり、小さいながら収納スペースもあります

 出典  Funmee!!編集部


フィアット600は、フレームとボディを一体化したモノコック構造や、フロントサスペンションに横置きリーフスプリングを採用した4輪独立懸架方式、そしてRR(リアエンジン・リア駆動)レイアウトといった、当時としてはかなり革新的な設計を取り入れていました。

 

いずれもクルマ全体をできるだけ小さくしつつ、大人4人が無理なく乗れるだけの室内スペースを稼ぐためのものですが、フィアット500はそうしたポイントを抑えつつも、さらなるミニマライズ化、ローコスト化を実現するために、より一層の合理化が施されました。



徹底した合理化のすえに生まれたキュートなスタイリング

ボディサイズは全長2,970mm×全幅1,320mm×全高1,325mm。コロンとした丸っこいスタイリングがキュートです

 出典  Funmee!!編集部


500ccの非力なエンジンで十分な加速を得るためには、車重を軽くしなければなりません。でも、国民車としては4人乗りという条件も外せません。だったら丸いボディにしようということで、丸みを帯びたキュートなボディラインが生まれました。立方体よりも球体の方が容積を大きくできますし、強度も保てるうえ、成型もしやすくてコストを下げられるからです。



ワンタッチで開閉できる開放的なサンルーフ

 出典  Funmee!!編集部


フィアット500のルーフは前席の上がキャンバストップになっていて、バックミラー上にある留め金を外すだけでカンタンに開閉できます。これも、じつはコンパクトな室内でこもりがちなエンジン音を逃がすための工夫だったりします。



離れた2個の丸目が愛らしい。ウインカー、サイドマーカーランプも円形で統一。ライトまわりの配置やエンブレムは年式によって異なります

 出典  Funmee!!編集部


とにかく一切の無駄を省き、不要な部分を削りに削って実現した驚異的なパッケージング。どこをとっても装飾的な要素はほとんど見られないのに、とてもまとまりのある、完成された美しいスタイリングをしています。デザインのためのデザインでなく、機能を追求したがゆえに生まれた自然なデザイン。まさにシンプルイズベストを体現したクルマと言えるでしょう。   




■取材・撮影協力 

オンタリオSS

車両販売から整備、レストア、チューンナップまで何でも相談できるフィアット500専門店。長年フィアット500一筋に手がけてきただけあって、このクルマに関する知識やノウハウにかけては日本随一だ。ちなみに2014年に公開された実写版の映画『ルパン三世』に登場したフィアット500は、この店で卸したものだとか。

 

 

埼玉県さいたま市中央区桜丘2-10-27

TEL:048-745-9500

営業時間:10:00〜19:00

休み:月曜

 

 

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文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:六本木泰彦(Yasuhiko Roppongi)



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Funmee!!編集部

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