ハートに火をつけて!いま聴きたい「クラシックロック」10選(後編)


The Beatlesがデビューした60年代前半から、グランジ前夜となる80年代後半までに期間を定め、2017年のいま、あらためて聴きたいクラシックロックをピックアップ!

 

後編では、前回に続いてタワーレコードの内田暁男さんに登場していただき、パンクムーヴメント以降に発売された珠玉の5作品を選んでもらった。それでは、Let there be ROCK!!



The Jam『In The City』(1977)

みずみずしさが際立つThe Jamの1st。パンクの原点である怒りが内包されている

 出典  Funmee!!編集部


今年はこのアルバムが発売されて40周年です。中心人物だったポール・ウェラーはいまも現役バリバリですが、彼の若かりし頃を知らない人にもこのタイミングでThe Jamを聴いてほしいな、と。

 

僕のなかでThe JamはThe Whoの子どもたちというイメージ。それに、ポール・ウェラーはソウルやR&Bもすごく好きですよね。このアルバムは直線的な曲が多いのですが、ラリー・ウィリアムズの「Slow Down」をパンキッシュにカバーしていたり、同じ時代のパンクバンドとは異なる懐の深さが伺えます。あえて1曲選ぶとしたら、「In The City」。不朽の名曲です。




ちょうど『1977 40th Anniversary Box Set』も発売されたので、このボックスで1977年のThe Jamを聴くのもいいかもしれません。



Television『Marquee Moon』(1977)

当時のニューヨーク・パンクを代表するバンドとして、東京ロッカーズにも影響を与えた

 出典  Funmee!!編集部


The Jamの『In The City』と同様に『Marquee Moon』も今年で40周年ですが、こちらはリイシューの機運がまったく高まらず無風状態(苦笑)。名作なんですけどね。

 

Televisionはメンバーのインテリジェンスとアヴァンギャルドなサウンドが化学反応を起こしたバンドだと思っています。当時の音楽雑誌では、「The Velvet Undergroundの生まれ変わり」という評価もあったようです。

 

中心人物はトム・ヴァーレインですが、さまざまなギターロックを通過したいまの耳で聴くと、リチャード・ロイドのギターが非常にカッコよく聴こえます。とくにタイトル曲の「Marquee Moon」は、キレキレのギターフレーズが耳に残りますね。すでに解散していますが、Number Girlが好きな人にもおすすめです。



Donald Fagen『The Nightfly』(1982)

発売された80年代当時の日本では、ドライブする際のBGMとしても人気だった

 出典  Funmee!!編集部


ド定番、ド・クラシックです。

 

ドナルド・フェイゲンはもともと、Steely Danというバンドの首謀者です。ロックはもちろん、ジャズやフュージョンのメソッドも昇華したバンドで、高度な音楽理論に裏打ちされた技術と洗練された音楽性を確立し、当時のシーンを席巻しました。

 

ソロ作品も音楽性は地続きで、この作品でも、緻密に練り上げたポップなサウンドが楽しめます。80年代のアーバンな雰囲気もいいですね。

 

彼は今年『Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017』で初来日するはずでした。でも急遽キャンセルになり、その余波でイベントも中止に。思わぬ形で話題になったからなのか(笑)、今年になって紙ジャケット化されたこの作品が滅茶苦茶売れています。近年キリンジや富田恵一のファンになった人にも手に取ってほしい1枚です。



The Smiths『The Queen Is Dead』(1986)

The Smithsの中心人物だったモリッシーとジョニー・マーは、いまでも現役で活躍中

 出典  Funmee!!編集部


The Smithsの代名詞的なアルバムで、ジョニー・マーのソングライティングとモリッシーの鬱屈した感性が、奇跡的な融合を見せています。

 

個人的には思い入れがある曲は、「There Is A Light That Never Goes Out」。歌詞に、「君と一緒なら10tトラックに轢かれて死ぬのも悪くない」という一節がありますが、その“君”は、たぶん同性なんです。この歌詞をモリッシーがヨーデル調のボーカルで歌うのですが、こんなにも美しい音楽体験ができる曲はいまでも数少ないと思います。

 

今年はこのアルバムのデラックス盤と、ジョニー・マーの自伝が発売されて話題になりました。Asian Kung-Fu Generationをはじめ、現在活躍する日本のバンドにも影響を与えているので、若い世代にこそこの作品を体験してほしいです!



Prince & The Revolution『Parade』(1986)

大ヒット曲「Kiss」のイントロのギターは、聴き覚えのある人もきっと多いはず

 出典  Funmee!!編集部


前編で紹介したデヴィッド・ボウイと同じく昨年亡くなった、偉大なアーティスト。ロックファンにも愛されていますね。

 

プリンスはこのアルバムの2年前に『Purple Rain』という傑作をリリースしています。世間的には『Purple Rain』が一番の名作とされていますが、個人的にはこのアルバムの方が好み。実験性と大衆性が完璧に折り合った屈指の名盤だと思っています。曲調は1曲1曲まったく違いますが、バックバンドのThe Revolutionがどんな曲でも抜群の演奏力で聴かせてくれます。

 

日本人でプリンスの影響を感じさせるのは、岡村ちゃん(岡村靖幸)やZazen Boysあたりでしょうか。彼らのファンはもちろん、亡くなったいま初めてプリンスを聴きたいという人に、この作品をプッシュしたいです。



3,000枚以上のCDをコレクションする内田さん。今回のセレクトのなかでは特にThe Smithsに思い入れがあるのだとか

 出典  Funmee!!編集部


テーマに合わせ、ここ数年で何かしら話題になったり、亡くなってしまったアーティストの作品を中心に選びました。現在活躍しているアーティストのルーツとしても聴けると思います。

 

この時代の作品はコンセプチュアルなものが多く、想像力を刺激する歌詞も魅力です。オーディオの前で訳詞を読みながら聴くと、より一層楽しめるはずです!



 


■プロフィール

内田暁男さん

雑誌編集者を経験した後、タワーレコードに入社。『Bounce』編集部を経て、現在はオンライン事業本部に所属。プライベートでは1児の父でもある。

 

 

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文:吉田勉(Tsutomu Yoshida)

写真:山本祐之(Yuji Yamamoto)



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Funmee!!編集部

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