April 1, 2024

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ギターのない人生なんてありえない! 野村義男さんのギター愛

プロギタリストとして様々なミュージシャンとステージを共にする一方、日本有数のギターコレクターとしても著名な、“よっちゃん”こと野村義男さん。

近年入手したコレクションの一部を紹介していただくとともに、ギターへの愛情や集め続ける理由を語っていただきました。

ひと目惚れして、衝動買いしたギターたち

コレクションの一部を背に語る野村義男さん

 出典  Funmee!!編集部

膨大な数のコレクションを、自宅のほかガレージを数棟借りて保管しているという野村さんですが、「集めている」という意識はゼロなんだとか。「こんなにあってもしょうがないと思うのですが、すべて衝動買いなんです。探して見つかるようなものでもないのですが、日本中の楽器屋さんや質屋さんを日々めぐっていると、遭遇しちゃうんですよ。ほしいギターと!」

手持ちのラインナップも流動的で、数年前にギターの写真集を出した野村さんですが、今そのうちの100本近くは手元になく、その分新しいものと常に入れ替わり続けているそうです。

最高のギターを未来に引き継ぎたい

お気に入りの一本「カスタムテレキャスター」を手にとった野村さん。膨大なコレクションを維持するメンテナンスの秘訣は「オイルやワックスなど、余計なことはせずに1〜2時間かけて丁寧に手の脂を拭き上げ磨くこと」だそう

 出典  Funmee!!編集部

現在も300本以上ものギターを持っている野村さんですが、半分以上は弾いていないんだとか。その理由は「未来に、最高のギターを残したいから」だといいます。

「例えば、70年近く前のギターがとてもいい状態で手に入ったとしますよね。それってつまり、前のオーナーたちが丁寧に扱ってきてくれたお陰なわけです。自分もそれと同じことをしたい。それだけなんです」

野村さんは自分の所持しているギターに対して、”自分がこのギターの最後のオーナー”とは思っておらず、ずっと先の未来に生きる人に”過去にこういうギターがあった”ということを伝えたいと思い、日々ギターと向き合っています。

ギターを愛しているから、「みんなが持っていないもの」がほしい!

珍しいマンドリンのような弾き味のギター

 出典  Funmee!!編集部

手元を離れていったものを含めると、膨大な数のギターに触れてきた野村さんですが、コレクションのなかには、”いいギター”だけではなく、経年劣化で弾きにくくなっているものや音が良くないものもあります。

「”いいギター”とは単純に弾きやすくて、音が良いもの。僕の手元にあるものの中でも、そういう”いいギター”は仕事で使う数本だけ。別に”いい子たち”だけをコレクションしているわけではないんです。とにかくギターを愛しているから、みんなが持っていないギターがほしい!」

よっちゃんとギターの楽しい未来

「ギターの森にいるみたい」と笑う、野村さん

 出典  Funmee!!編集部

「あの曲を弾きたい!」「モテたい!」という理由でギターを始める人も多いかと思いますが、野村さんとギターはちょっと変わった出会いでした。

「そもそも姉が弾いていたものを無理やり触らされたのが、僕とギターとの出会い。つまり、音楽に興味を持つ前にギターに出会ってしまった。いまもその感じのままなんですよ。弾くことよりもまず、ギターというモノ自体に気持ちが動いちゃう(笑)」

ギターという存在を心から愛す野村さん。「俺はコレクターというよりも、変態なのかもしれないなあ(笑)」と照れくさそうに笑っていました。

■プロフィール

野村 義男さん

ギタリスト・音楽プロデューサー。東京都中野区出身。

自身のバンドのほか、数多くのミュージシャンのサポートギタリストを務める。日本有数のギターコレクターとしても知られ、著書にコレクションをまとめた写真集『野村義男の“思わず検索したくなる”ギター・コレクション(ギター・マガジン編集部)』『野村義男の“足の踏み場もない”エフェクター・コレクション(ギター・マガジン編集部)』がある。

愛称は「よっちゃん」。

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文:平石ゲル(Geru Hiraishi)

写真:鳥居健次郎(Kenjiro Torii)

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